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◎むらかみさん
2011年8月。
レギュラー番組の収録の合間。
大倉が俺にしつこく話しかけてきた。
「信ちゃんさ〜晴人のお見舞い、行かへんの？」
かれこれこの話は3回くらいされている。
「う〜ん。俺はええわ。行けへんで。」
あいつが入院して以来お見舞いに行っていないのは、メンバーの中でどうやら俺だけらしい。
「先週退院したらしいで？今は東京の郊外に部屋借りてるんやて。会いに行くなら、今がチャンス！！」
台本を読み込む俺の背後でごちゃごちゃと言っている大倉。今がチャンスとか、値下げセールしてる家電量販店じゃあるまいに…。
「はぁ…。」
思わずため息をついてしまう。
別に、晴人が嫌いなわけじゃない。
頑張り屋で、可愛くて、空気も読める。
めちゃくちゃええ奴なのは言われずとも知っている。
だけど、4月ごろにヤスに言われた言葉が、俺の心を天邪鬼にさせているのだ。
「“俺らが守らなあかんのは、晴人の中にある本当の気持ち”、か…。」
怖いのだ。
晴人の本当の気持ちを知ってしまうことが。
晴人を傷つけてしまうことが。
「あぁ〜、もう！かなわんな〜！！！」
無意識のうちに大きな声を出してしまった。
自分の弱さが情けない。
たった一人の仲間ですら、助けられないなんて。
「裕ちんやばい！信ちゃんがなんか、ビックボイスで独り言言ってる！」
やばい、丸に絡まれた。
俺は慌てて手に持っていた台本に集中し直す。
いつしか季節は過ぎ、晴人の居ない7人で迎える、グループ史上初の5大ドームツアーが迫っていた。
俺はまだ、晴人の気持ちに向き合えないままだ。
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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜！ (2021年1月30日 17時) (
レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です！とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました！無理のないペースで、更新楽しみにしていますね！ (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さざ波 | 作成日時：2021年1月23日 1時
