検索窓
今日:1 hit、昨日:18 hit、合計:59,209 hit

ページ24

◎やすださん

2011年4月初旬。


あの手紙をもらってから1ヶ月ほどが過ぎた頃。
僕は誰にも内緒で、大阪駅から車で片道1時間半をかけて、晴人の入院する病院にやってきた。


病院を目の前にして、一瞬足がすくむ。
だが、意を決して扉を開けて受付に足を踏み入れた。


「あの、白岡晴人って…」

「面会希望の方ですか?では一応、身分証の提示をお願いします。」

「身分証っていうか、あの、僕…」


付けてきたマスクを少しずらす。
すると看護師さんの顔がぴくっと動いた。


「あっ!もしかして…メンバーの、方?」


気づいてくれた。さすが大阪や。東京やったら気づいてもらわれへんかったかもしれへん。


「少々お待ちください。主治医のほうに確認してきますね。」

受付の看護師さんは慌てた様子で病棟に走っていった。




看護師さんが戻ってくるのを待ちながら、僕はぐるりと辺りを見回す。


噂には聞いていた閉鎖病棟。それは、こんな人目につかない山の中に、ひっそりと佇んでいた。


病院は木々に囲まれていて、ときどき鳥のさえずりが聞こえる。
真っ白い壁に包まれたこの空間は、
どこか非現実的で、生活感がない。



病棟に入る手前には、厚いガラスの扉が設置されている。



誰にも邪魔をされない静かな土地で、晴人は一人、生活をしているのだ。

#→←past.6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
111人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜! (2021年1月30日 17時) (レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です!とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました!無理のないペースで、更新楽しみにしていますね! (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さざ波 | 作成日時:2021年1月23日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。