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御福side
『はぁ……』
何とか家に辿り着き、野上さんが新しく作ってくれた鍵を使って家に入る。
真っ暗な、温かみの全く無い部屋。母様や父様がくれたこの少し大きな一軒家が、今、初めて煩わしいと思った。
日常だったはずの静かな屋内の様子が、酷く虚しい。
玄関に立ち尽くして、スカートの布の中腹あたりを握り締める。すると、丁度背後でバタンという車のドアが閉まるような音がした。どうしたのでしょう、この辺りは交通機関が発達していて車を所有している方はいなかったはずですが。
そう思いそっと玄関の覗き孔から外の様子を確認する。鍵もチェーンロックもして、何かあってもリビングの窓から逃げられるよう念の為に靴と、貴重品の入った鞄を持った。
そして、次の瞬間にはその念の為が功を奏した。
『!』
異能力者と見られる複数の人間が御福の屋敷を囲み、一人が扉を吹き飛ばそうと手を翳したのである。
瞬時に背後に跳び、猟犬の制服と刀が置かれている部屋に入った。ドアを閉めると同時に玄関のこじ開けられる音がして、刀に手をかけた。
携帯で猟犬の執務室にある電話にかけ、ポケットに忍ばせる。
すると、乱暴に部屋が暴かれ、数人の男が無断で入り込んできた。
『……どなたですか』
「円地家の当主の娘、後継人の円地御福だな」
『だとしたら何でしょう?それと、無遠慮に人の家を荒らさないで頂けますか、片付けが大変じゃないですか……』
「そんなことを心配する必要は無い。お前には、我々と一緒に来てもらう」
「円地家との取引だ。愛娘を捨てるような真似はあの連中はしないだろう?」
『成程、私は父様達を脅す道具、という訳ですか。随分と面白いことを仰るんですね。やってみればどうです?』
やれるものなら。
そうにこりと笑みを貼り付けたと思えば、仄暗い部屋に光が点った。それも、御福の手元に。
『異能力 "涙の明星" 』
ごめんなさい、父様。母様。
折角貰ったこの家を、消し炭にするかも知れません。
『雷の龍は地の番人となりて 不埒者共の成敗へと向かう』
声に呼応して建物を雷が覆い、御福の足下では巨大な龍が段々と形を成していく。
電話は壊れただろうが、流石に鳴らしっぱなしだと誰かが気付く。聞いていただろうから、直ぐに人は来るはずだ。問題無い。
『龍が食らうは悪しき者 逆鱗に触れし者』
『今、地を戦慄かせるは憤怒の情』
『散らし駆け行く守護の者よ!』
その声と共に、何かが弾けた。
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MARU(プロフ) - 条野さん推しなので、すごくこの作品好きです!更新楽しみにしています! (2021年8月21日 22時) (レス) id: bd5ad6c911 (このIDを非表示/違反報告)
むつ(プロフ) - どうか皆様に伝わってほしいと思います。とある事情により、アカウントが変更になりました。現在、このアカウントが現在の私、儚奈です。ホームページを作りましたので、そちらをご覧ください。申し訳ありません、 (2020年3月6日 14時) (レス) id: 474b6fc94d (このIDを非表示/違反報告)
儚奈(プロフ) - もっぴい!さん» ありがとうございます! リクエスト、遅くなってすみません……(--;) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 474b6fc94d (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい! - す、すみません嬉しくてハイテンションになってしまいました…。これからもがんばってください (2019年11月10日 15時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
もっぴい - は、はう…。ありがとうございます!待ってました!!!これでまた勉強頑張れる…。これからもがん (2019年11月10日 15時) (レス) id: 1e3d085ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:儚奈 x他1人 | 作成日時:2019年6月8日 21時