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「僕、それはそれは大人しいタイプだったので、目立たない生徒だったんですよ」
アズールは眉を下げながら、微笑みながら言う。
「別の意味で目立ってそうだったけどな。主に横幅が……むがんごご！」
グリムは悪気なく、アズールのコンプレックスを言おうとした。
それを尽かさず、アズールは勢いよくグリムの口を塞いだ。
アズールが勢いよく塞いだので、息が十分にできないグリムはなんだか苦しそうだ。
「グリムさん、それは内密にと何度も言いましたよね……！！」
「それなのに君が寮長？随分と不思議な関係だな」
ジャミルが話を戻すと、パッと手は離された。
涙目になって、グリムはAとユウ方向へとのそのそと歩く。
Aはグリムを慰めるように、頭を撫でてあげた。
「そお？今はアズールの言うこと聞いてるのが、面白いからそうしてるだけ」
「ジェイドもフロイドも、僕に服従している気は無いんでしょう。
彼らにとっては、そういう“ごっこ遊び”なんですよ」
「主従ごっこ、ということか？ますますよくわからない関係だ」
はあ、とガッカリしている様子のアズールに、フロイドの口元は笑っている。
ジャミルは不思議そうな顔をしていた。
「僕がリーダーとして間違った……あるいはつまらない選択をした場合は──
二人はあっさり僕から離れ、寮長の座を奪うはずです」
眼鏡をかけ直したアズールの目はジャミルを真っ直ぐと見ていた。
「まあ、挑まれても負ける気はしませんが」
「オレらも挑む予定はないけどねー、今んとこは。あはっ」
「……あくまで君たちは対等な関係、なんだな」
「今は面白いから一緒にいるし、つまんなくなったら一緒にいなくなるってだけ。
つーか、副寮長は寮長の家来じゃないし。フツーじゃん」
“家来”という言葉に、ぴくりと反応したが動じていないようにジャミルは腕を組んだ。
「……普通、ね。生まれた時からアジーム家の従者の俺には、やっぱりよくわからない。
主人は主人、従者は従者だ。
おそらく、一生な。」
「……」
シーンと静かになり、肌寒い風が通り抜けた。
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作者名：金平糖
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作成日時：2022年4月10日 15時
