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ピーピーと笛を鳴らし、寮生たちはAを追う。
「このままだと、また捕まっちゃうよ……!」
「とりあえず、適当な部屋に入ってやり過ごすんだゾ!」
曲がり角を曲がって、すぐ隣にあった扉へと逃げ込んだ。
「どこへ行った?手分けして見つけ出せ!」
「出てこい!ドブネズミどもめ!」
幸い寮生にはバレておらず、何とか逃げ切ることが出来た。
バタバタと足音が消えて、Aたちはほっと胸をなで下ろした。
「ふぅ……。行ったみてぇだな」
「見つかるのは時間の問題かも」
「そうだね。このまま待機してる訳にも行かないし……」
ほっとしたのも束の間、ユウがそう口にすると、Aも頷いた。
「くそぉ……。何とか逃げ切る方法はねぇのか?
にしても、ここはなんの部屋だ?真っ暗で何も見えねぇんだゾ」
キョロキョロと周りを見渡し、グリムは目を凝らしても見えなかった。
その瞬間、チョンチョンとグリムの顔になにかが触れる。
「ン?なんかフサフサしたもんが顔に……。ふひゃひゃ!くすぐってぇ!
ユウ、“すまほ”で照らしてくれ」
ユウがグリムの言う通りに、スマホにライトをつけた。
グリムの隣にはふわふわと魔法の絨毯が浮遊していた。
「どわ〜……ッ!びっくりした!大声出しちまうところだったじゃねーか!」
周りを見渡せば、金、金、金。
「魔法の絨毯があるってことは……」
「ここ、カリムの宝物庫か!
鍵をかけてねぇなんて、金持ちにもほどがあるんだゾ」
窓と絨毯をみて、グリムは閃いたように手を叩いた。
「……そうだ!オマエがいれば、見張りを振り切って外に出られるかも!」
魔法の絨毯は首を傾げたように、ゆらりと揺れた。
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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ
作成日時:2022年4月10日 15時