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Aが寝室に戻る頃、寮生も着いてきた。
「よし、ここだ。明日も早い。早く寝ろよ」
「……はい。皆さんもお疲れさまです。おやすみなさい」
口調は荒っぽいものの、やっぱり疲れているようで言葉をかけると寮生たちは少し微笑んだ。
(かわいい……)
内心Aはそう思いながら、ぺこりとお辞儀をして扉を閉めた。
鍵をしっかり閉められた部屋では寝たフリしたユウとグリムが『おかえり』とAに言った。
「ジャミルと何を話してんたんだゾ？」
「目が合った時に、私咄嗟に目を逸らしちゃって……。それが気になったみたい」
嘘は言っていない話に、グリムは興味無さそうに『ふーん』とまたスプーンを持って、少し穴の空いた地面を見つめた。
「わ、結構進んでるね」
「今夜こそ、ここを抜け出してやるんだゾ」
両手でスプーンを持って、ジョリジョリと床を削る。
Aも疲れているのか、脳内は“グリムがスプーン両手で持ってるかわいい”で埋め尽くされた。
そして、数分が過ぎてグリムはスプーンを床に置いた。
「……！！
ユウ、オイ。ユウ、A……！！」
ユウとAがグリムの方を振り返る。
グリムの傍には穴があいていた。
「見ろ。ついに床に穴をあけることが出来たんだゾ！
そんなにデカくはあけられなかったけど……、頭が通ればだいたいの頭は通れるって相場が決まってるんだゾ」
「動物らしい理論……」
ユウが少しあきれる中、今度こそ抜け出せるというグリムは張り切っているようだ。
「オレ様が先に出て引っ張ってやる。よぉし、脱出作戦開始なんだゾ！」
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作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･ω･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2022年4月10日 15時
