第11話(お出かけ編) ページ12
ぼーっとしながら景色を見ていると、レトさんにAを呼ばれた。
「なぁ、Aちゃん」
「どうしたんですか?」
レトさんはにこやかな表情ではなく、やけに真剣な顔だった。
なんだかいつもより真剣な顔のレトさんに、少し顔が強ばる。
「こんな所で言うのは変やけど、聞いてくれへん……?」
「……はい、大丈夫です」
相手は実況者で、私はただの和菓子屋の子供。
レトさんは実況者だし、顔もマスクだけど一応は出している方だ。
レトさんのファンは多分、彼が“実況者のレトルト”だと気づくだろう。
私が既にファンだとバレていて、もう関わらないようにしようとか、言われるのだろうか。
それとも、自分が実況者だということを明かして、関わらないようにしようとか言うのだろうか。
私の不安は積もっていくばかりだ。
そりゃあファンとしては、レトさんが『関わりたくない』なんて言われたら、悲しいけれど、絶対関わらないようにしたい。
「……Aちゃん」
「……は、い、」
重たい口を開いた。
なんだか怖くて、途切れ途切れの返事になってしまった。
「俺……、っ、」
言葉はなかなか出てこないようで、レトさんは言葉を紡ごうと、必死に伝えようとしている。
「……大丈夫、です。ゆっくりでいいので……話してください」
「う、うん。俺、変に緊張しとるわ……」
私がそう言うと、きごちなく答えるレトさん。
ほんのり頬が赤く、恥ずかしそうに目を逸らすレトさん。
その行動に嫌という程期待が膨らんだ。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・∀・`)ナイナイ
作成日時:2020年9月17日 14時