【ナカノヒトゲノム 】一目惚れ、しちゃいました。【鬼ヶ崎カイコク】2

74.HIDEOUT ページ26

かさ、と後ろで音がした。

「なんでえ、嬢ちゃんか。どした」

隣のカイさんが後ろを向いて、言うので私も後ろを見た。

「あ……、あの……虫が。背中に、虫がいたので……」

声を震わせて、言うキッカさん。

私もカイさんの背中を見てみると、イモ虫がもそもそと動いていた。

「虫ィ？忍霧、とって」

じい、とザクロさんはカイさんの背中を見て、口を開ける。

「……。2センチほどのイモ虫が、右肩肩甲骨付近を這っている。まもなく、うなじに到着する」

「……そういう実況はいらねェんだが」

「柔らかい虫は苦手だ」

「……じゃあAちゃん、とってくれねェか？」

「えっ、私ですか？わ、わかりました」

イモ虫に触ろうと手を伸ばす。

心なしか、私の手はプルプルと震えていた。

「……待ってください。私、とります」

手が震えているのが見えたのか、ヒミコちゃんがイモ虫をとってくれた。

「揃いも揃って無視ダメとか……、女子か」

駆堂くん、私は元から女子ですけど。

そう心の中で呟いた。

「アン坊。君の背中にも、ヘラクレスオオカブトが止まっているぜ」

「まじかよ！！とって！！」

と目を輝かせた。

世界最大！と飛んでいった、ヘラクレスオオカブトを追いかける駆堂くんと路々森さん。

「あんたたち、うるっさい！！少しは静かに……」

と、カリンちゃんが注意する間に、鬼が来たようだ。

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