【ナカノヒトゲノム 】一目惚れ、しちゃいました。【鬼ヶ崎カイコク】2

64.KEEP TRYIN' ページ16

「礼はいいんでえ。それより名前呼びたいってどういうことでえ？」

「そ、それは……。言う通り、お名前を呼びたいなと……。か、『カイさん』、『ザクロさん』って……」

「お、俺もか……、桐崎……」

顔を赤くしている忍霧さん。

やっぱり嫌なんじゃないか……？と思ってしまう。

「えっ、嫌だったら大丈夫なんです！」

「嫌じゃないんだが、『鬼ヶ崎が良ければ呼びたい』と言っていなかったか？」

「……わ、忘れてください」

下心丸出しじゃないか……。

今すぐにでも飛び降りたい。

「俺ァ、いいぜ。好きに呼んでくんな」

「あ、ありがとうございます……！」

ぱあっと自分の顔が明るくなるのが分かる。

後、忍霧さんにもOKを頂いた。

良かった……。

「で、では私はこれで！！ありがとうございます！カイさん、ザクロさん！」

嬉しくて嬉しくてたまらない。

頬がゆるゆるだ。

カイさん……、カイさん……。

なんだか一歩近づけたみたいで、嬉しい。

ぽつ、と雨水が当たる。

「……雨降ってきた」

激しくなりそうだ。

早く戻ろうと、私はタワーに戻った。

65.SACRIFICE→←63.KEEP TRYIN'

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す