這い上がる貴公子【あんスタ】 (ページ6)

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罪を悔いる貴公子-35- ページ6

紅月が舞台を降りた途端、客席から立ち始める観客。やっぱ、絶対王政(生徒会サマ)は奥深くに根付いているんだなぁ………

…ひしひしと感じる目線がこの前のドリフェスを思い出させて、怖い。でも、そんな個人的な恐怖よりも、誰からも見られなくなる方が、もっと恐い。

｢………ねぇ、過去の遺物と化した貴公子の七変化に興味はない？｣

だからなのだろうか。自然と口から言葉が出ていた。誰にも見られないまま、埋もれて終わるのがいちばん嫌だ。

人の目が、突き刺さる。足を止めて、舞台に魅入る客。席に戻る観客。舞台の上だと、よく見える。

｢とある軍人の話だ。ソイツは床に臥せる妹のために軍で働くことを選んだ。剣で斬り裂いて、銃で撃つそんな戦いの乱世に身を投げた。｣

僕らが作り出すのは架空かもしれない軍人の話。勿論、実際の人物と言うわけでもない。

｢いつしか彼は何も、感じなくなっていちばん大事だったモノに手をかけた｣

そして、イントロが流れ始める。僕らが奏でるミュージカルにも似た世界観。紅月の重くて深くて響くそれを打ち消して、全く違う色を着けた。