罪を悔いる貴公子-31- ページ2
S2が始まりを告げた。ドリフェスのルール上、仕方がないんだけどパフォーマンスをするのは紅月から。
きっと暗黒時代の名残だろうね。酷いというか、
学院で強いユニットから始めるのがルールだから、新人は圧倒的に不利。そういう風潮の中だから、あの皇帝の提案に乗った。
返事はYesしかなくても、喉から手が出るほどに欲しい美味しい誘いだから。それに、絶対王政の生徒会サマに紹介されるユニットなら、誰だって興味を持つでしょ？
それにしても、ドリフェスはライブというのにはあまりにも静か過ぎて、盛り上がりに欠けていて………
こんなのが本当にライブと言えるのだろうか？
それでも、
｢流石、と言っておこうか｣
紅月は皇帝がいない現在、最強と言われてる。小手先だけではない実力が見る者を圧倒させる。
｢伝統芸能の利を生かしてる｣
そう、紅月は伝統芸能を重んじる和風ユニット。それもただ古臭いだけの伝統だけじゃない。
｢だよねぇ……｣
伝統芸能を取り入れた上で現代的なアレンジを取り入れている。だから、地に足がついたパフォーマンスになる。
｢fineの皇帝にしか牙を剥くつもりはないけど、内側から喰い散らかすのに内部分析も必要なことにしておいて｣
伝統は堅実て地味だと言われがちだけど、決してそんなことはない。人間が何百年、何世紀と積み上げてきた音楽、人を楽しませる技術がそこには詰まっている。
｢新撰組的なあれってこと？
ほら、有名な芹沢鴨の暗殺みたいな騙し討ち｣
その技術を極めて、完璧にやり遂げるのが紅月。そして、紅月が作り出す伝統文化の大津波には何も抗えずに押し流されてしまう。
｢まあ、そんな感じ
でも、騙し討ちじゃないし｣
伝統の強みは歴史の重さ。だからそれは王道が故に決して揺るがない。
｢ごめん、ごめん
それで？今回は勝つ見込みはあるの？｣
｢ん？今回は負けるよ
そんなこと、織り込み積みだよ
だって、僕らまだまだ未熟で発展途上だよ
そんな新人に踏まれるほど、紅月は弱くない
深くて、重い上に響く強大なユニット｣
深いのも、重いのも、響かせるのも芸術だよ。こっちの専売特許。
印象付けくらいに思いきり心の奥底にAUBEの爪痕、残すくらいの心構えくらいはあるよ。
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作者名：雪桜 | 作成日時：2016年11月14日 15時
