貴公子のプロローグ ページ1
今でも、後悔している。
あの日、あのとき、あのライブ。ひとつひとつの出来事が鮮明に思い出せる。
「優れた君になら分かるはずだよ」
僕の言う通りにしないと、何が起こるのか。
頷きたくなかった。
そして、仕方なく首を縦に振った先には罪が存在した。
「騎士、失格…」
たったひとつのボタンが僕を地獄に突き落とした。
人形師とマリオネットの不協和音は耳障りだが、確かに、僕の心にすとんと落ちた。
「予想以上の喜劇をありがとう」
今まで積み重ねてきたものを跡形もなく、崩されたような気すらした。
確か、確か、このときからだったのだろうか。
僕はなくてはならないものを失ってしまった。
剣を取って約束しよう
誰より強く此処に存在ること
そこにある歌詞。
歌ってもそれは、酷く醜い声で
「…助けて………」
多分、これはずっと前から口に出したかった言葉。弱味なんてみせられるわけがなくて、ずっと溜め込んだ言葉。
罪人に救いなんてあるわけないのに、馬鹿だなぁ…
「ごめん、もう無理だ…」
罪の重さに耐えられなかった僕は地へと堕ちた。
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作者名:雪桜 | 作成日時:2016年9月25日 12時