06-ある日の朝 ページ16
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＿悟が目を覚ました時には隣で眠っていた彼女はもう居なくなっていた。
まだ暖かいベッドシーツから、彼女が起きたのも数分前なのだとわかる。
そのまま二度寝してしまおうかとも思ったが、ふんわり香った味噌の匂いに、彼は真っ白い掛布団を剥いでその長い足をベッドから下ろした。
「＿＿…あ、悟。おはよう」
「ん……。おはよう」
キッチンに立つAはどうやら昨日の余りの味噌汁を温め直しているようで、その横で弱火に下げられた卵焼き器が油の温度を上げている。
「ご飯食べる？」の彼女の声に、ぼんやりとした頭で悟は緩慢に頷いた。
「パンはないけど」
「僕ご飯派だから」
高校時代は毎朝甘ったるいコーヒー牛乳とパンを片手に登校していた五条悟の姿を思い出して、そんな台詞にAは可笑しそうに笑った。
彼女の笑顔を背中に、悟は踵を返しキッチンの後ろに位置する洗面台に行って顔を洗う。
一滴も床を汚す事なく洗顔を終えた彼がもう一度彼女の居るだろう部屋に戻った時、すでに2人掛けのダイニングテーブルには艶々の卵焼きと味噌汁が用意されていた。
「んー良い匂い」
「ご飯どれくらい食べる？」
「自分でつぐよ」
「そお？」
洗面台から帰ってきたそのままの足で、悟は彼女の後ろに立ちその華奢な手に握られていた、しゃもじと茶碗を手に取り炊飯器の蓋を開ける。
米なんか久しぶりに食うな、なんて頭の片隅で思いながら、隣で二人分のお茶を注ぐAの姿を、彼はゆっくりと噛み締めていた。
「頂きます」
「いただきまーす。…うま」
「良かった」
寝起きの癖して、真っ昼間みたいな顔してAは微笑む。
対して五条悟は明確に寝不足の顔で、お得意の白髪の後頭部には寝癖がついていた。
昨日、僕がどんな思いで君の隣で寝たか、まるで知らないな。
好きな女が自分に初めて弱みを見せた夜なのだ。
少しでも期待をしてしまうのは、単純な男代表なのだから仕方ない。
「A、今日は珍しく休みなのね？」
「うん。悟も休みなのに、珍しく早起きだね」
「珍しくは余計じゃない？」
悟は一口味噌汁を啜ってから箸を置く。
至っていつも通りの顔で、彼は「そしたらさ」と続けた。
「Aの休日僕にくれない？」
「うん。いいよ」
あまりにも早すぎる彼女の答えに若干肩を飛び上がらせながらも、悟は「じゃ決まりね」と、口元の緩みを隠す為に茶碗を持ち直した。
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (
レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます！ これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ！（知るか） 読んでて，とても面白いです！！！続き気になります！頑張って下さい！！ (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます！嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます！ (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして！こんにちは！ 読んでてすごくおもしろいです！！！これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2021年5月29日 15時
