私を変えてくれたのは5人の先生。RESTART13 (ページ9)

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＃６３４ページ9

翔side

死にたいと言ったAにかける言葉が見つからない。

雅「そんな悲しいこと言わないで？」

A「だって、！だって…家族も仕事もない。何のために生きるの？これ以上生きてて何があるの？他人に迷惑かけるだけじゃん……」

声を荒らげて早口で想いをぶつけたAはまたポロポロと涙を零す。

ずっとこの想いを抱えていたんだね。

どこにもぶつけることが出来ない、誰にも話せないで1人でこぼれ落ちそうになるのを必死に抱えていた。

そんなAのことを誰が責められるの？誰が叱れるの？

…誰にもその権利は無い。

翔「桃ちゃんは、家族じゃないの？」

A「家族じゃ、ない…」

翔「…そっか。」

雅「……っ」

実の娘さえ家族でないと言い放った。

本当はまだ離婚してないんだよ、ってまだ家族なんだよって言ってやりたい。

でも…それはAの依存先を増やしてしまうことになる。

依存先を増やせば見て欲しい、認めて欲しいという思いから自傷行為に走ってしまう。

そのためにも今は何も伝えない方がいい。

A「でもね、…死ぬのが怖い。薬を飲んで、ぼーっとしてた時間が怖かった……死にたいはずなのにっ、死ぬのが怖いんだよ…」

…それは間違った感情じゃないんだよ。

抱きしめたい気持ちをぐっと抑えてAの細い手を握った。