私を変えてくれたのは5人の先生。RESTART13 (ページ26)

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智side

智「着いたよ。」

A「ここ…」

都心からはかなり離れた空気の気持ちいい場所。

Aは駅の看板を見てようやく理解したみたい。

A「えっ…」

智「行こうか。すぐ近くみたいだから。」

俺がAを連れてきたのはAのお母さんの地元。

お墓はここの近くの墓地に建てられたそうだ。

A「名前しか聞いたことなかったから…こんなに気持ちいいところだったんだね。」

智「うん、本当に空気がきれい。」

相葉くんから預かった…いや、由人さんがくれたメモとGPS機能を頼りに目的地に向かう。

A「あった…」

高台にあって町の景色が一望できるいいところ。

智「ここだ…」

A「…本当に、死んじゃったんだ……」

墓石に彫られた名前をゆっくりとなぞるAの細い指。

ここに来て、ようやくお母さんの死を受け入れることが出来たのかも。

A「死んじゃったら、もう戻ってこないんだよね……」

智「そうだよ。もう何をしても戻っては来ない。」

死を望んでいたAと死んでしまったAのお母さん…

2人の対比の影はとても色濃い。

死に触れることで少しでも良い方向に気持ちが向いてくれたらって。

かなり賭けではあるけどね。

A「私は…生きてる、」