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＃１４１ ページ15
潤side
大人になったAでも心は繊細なままで。
桃ちゃんがお見舞いに来たあの日から数日経って心はまた不安定になってしまった。
きっかけはとても些細なこと。
たまたま退院間近の患者さんの社会復帰を手伝う精神保健福祉士さんが病院に来ていて…
Aの心に『仕事復帰』の言葉が残ってしまったんだ。
今も誰かがそばにいないと不安みたいで翔さんと大野さんが交代でついている。
でも今日は2人ともどうしても抜けられない仕事で俺が代わりにそばにいるんだけど…
A「潤先生、どうすればいいの…？」
潤「大丈夫。焦らなくて大丈夫だから。」
ベッドに横になって項垂れて涙を目に溜めながら聞いてくる。
この前まで安定してたのにね…
些細なことでこんなに脆くなってしまうんだ。
仕事復帰、か…
翔さんが医局で言ってた。
個人的にはせっかく叶えたAの夢をこのまま終わらせてほしくない。だけど、医者としてAが精神保健福祉士の仕事に戻るのは難しい…と。
クライアントの状態に影響されることももちろん考えられる。
でも、Aは必死に勉強して夢叶えたもんね…
潤「Aは仕事好き？」
A「…好きじゃないけど、やりがいは感じてるよ。」
そう、だよね。
Aが諦めないで必死に勉強して手にした仕事。
簡単に摘み取れるわけがない。
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作者名：蒼紗仁真 | 作成日時：2018年5月22日 11時
