不死身の杉元 ページ5
「カフッカフッ」
ﾚﾀﾗ「ゴルルルッ」
アシ「！その位置からだと心臓は脇の下だ。肩甲骨に気をつけてしっかり狙え」
ダァンッ！
『！』
「オオオオオオ！！」
？「殺してみろっ！俺は不死身の杉元だ！！」
『ふ、じみの…すぎ…もと…？』
どこかで聞いたことがあるような……
ズキンッ
『ｯ……』
頭が痛い…私は、”何を”忘れている？
アシ「……おい、生きてるかシサム」
え、ヒグマに向かって言ってるってことはあの人ヒグマの下敷きになったってこと？？
？「生きてる」
あ、本当に下敷きになってた
アシ「アイヌの猟師も木の杭を地面に固定して同じように覆い被さるヒグマの体重を利用しながら心臓を串刺しにする。
危険で捨て身の戦い方だ。よく知っていたな」
？「知らねぇよ、とっさに身体が動いた」
『とりあえず引っ張り出しますね』
？「ああ、そうしてくれると助かる」
アシ「勇気と戦いの才能がある。優秀な戦士だ。シサムにしてはやるな」
杉元「杉元佐一だ」
アシ「アシㇼパ」
杉元「そっちは？」
『私は…イメルです』
杉元「さっきの馬鹿デカい白い犬は？なんだったんだ？ありゃ」
アシ「あそこに居る。あいつは狼だ」
杉元「オオカミ？まだ生き残っていたのか」
一八九〇年代 エゾオオカミはそのほとんどが駆除され絶滅したとされている
杉元「あんたを守ってるように見えたが……」
アシ「……………………」
アシ「5年前の話だ。父をふくめ村の男たち7名は金塊の隠し場所を移動させている道中に殺されたらしい。ばらばらに切り刻まれ獣に食い荒らされて散乱していた。父らしきものもあった……私達が知っているのはそれだけだ。」
『アシㇼパの父達を殺した男が捕まって網走監獄に居ることすら私達は聞かされてないんです。ましてや入れ墨を入れた囚人のことなんて……』
杉元「なぁ アシㇼパさん、イメルさん。俺と組んで金塊を見つけよう。もとはあんた達の金だ。山分けとまでは言わない。だが俺にも分け前が欲しい」
『見つけるとは、どうやってですか？入れ墨の囚人を探して、そのあとは？囚人を殺して皮を剥げと言ってるようなものですよ』
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作者名：月夜 | 作成日時：2021年5月7日 19時
