出会い ページ2
？「……い……」
誰かが呼んでいる。
？「き……ろ……」
身体が動かない、目も開けられない。なんで？
？「起きろ！イメル！」
『！？』ガバッ
あ、動ける……
？「起きたか。魘されていたぞ、大丈夫か？」
横から声が聞こえ、振り向くとそこにはアシㇼパとフチの姿があった。
『え、魘されてた……？』
アシ「ああ。怖い夢でも見たか？」
『覚えてないな……』
怖い夢だったら忘れていた方が良いな
アシ「そうか。今から狩りに行くんだが、イメルも来るか？」
『うん、私も行く』
私達はフチに見送られ、狩りに出かけた
「フォオオオオ！」
アシ「『！』」
『アシㇼパ、今のってヒグマだよね…？この時期のヒグマって……』
アシ「ああ、行こう イメル」
声がした方に向かうと、そこには和人と思わしき男が居た
アシㇼパはヒグマに向けて毒矢を放つ
ドッ
「ギャアッ！？」
？「アイヌ……」
『早く離れてください！』
アシ「トリカブトの根やアカエイの毒針を混ぜた即効性の毒矢だが…ヒグマなら10歩は動ける」
アイヌ民族の毒矢には効力を強めるために様々な物が混合されその製法は各家で異なり、秘伝として受け継がれた
？「死んだのか？」
アシ「逆だっていた体毛がねている。死んだ」
？「なんて爪をしてやがるこいつは…バケモノだ。こんなのでひっかかれたらたまらんな」
話している間に、私は毒矢が刺さった周りの肉を取り除く
？「何やってんだ？」
『毒矢が刺さった周りの肉を取り除いてます。そうしないと毒が強いので肉も毛もダメになるんですよ』
アシ「その男、死んでるのか？」
？「ああ、ハラワタ全部食われて埋められてた。その母熊にやられたんだ」
アシ「『母熊？』」
？「小熊が木に登っていた。その下の穴から母熊が飛び出してきたんだ」
『穴から出てきた……？それは変ですね』
アシ「ああ。冬ごもりの穴から出たばかりの熊は何も食べない。胃が縮んでるからすぐに食えない。子供を守るために近づいた人間を襲ったとしても肉まで食わない」
『うん、胃が空っぽだ』
？「じゃあオッサンを食ったのは別の熊か」
アシ「小熊が冬ごもりの巣穴から出て木に登っていたのもおそらく別の熊が近づいたので母熊が避難させたんだ」
ってことは……
アシ「まずいことになったぞ、お前」
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作者名：月夜 | 作成日時：2021年5月7日 19時
