第四話 久しぶりの町 ページ5
恵「あ、お嬢様。」
『ん?』
恵「この後、町に出かけませんか?」
『町に?』
恵「はい。もうすぐ食材がなくなってしまうので。」
『まっかせて!荷物ならいくらでも持つよ!』
恵「荷物なら私が持ちます!お嬢様に荷物を持たせる使用人がどこにいますか。」
『なっちゃえ。』
恵「い・け・ま・せ・ん!」
『デ、デスヨネー。』
怒った顔で顔を近づかれて言う通りに頷く。
恵里さんを怒らせたら怖いの知ってるから…。
堪忍袋の尾が切れたらやばいと思う。
恵「では、勉強が終わりましたら行きましょうか。」
『分かった!パパッと済ませるから。』
恵「ふふっ。お嬢様ったら。」
あたしが本に視線を移すと面白そうに笑う恵里さん。
この時間がずっと続けばいい。
あたしはこの時、心の中でそう思った。
あたしの家族は日本の中でも有名な星川家。
昔からの歴史がある星川家の嫁であるあたしは鬼殺隊にはこのことをふせていた。
もちろん、お館様にも。
あたしはみんなに普通に接してほしかったから。
でも、ふせていても、”あんなこと”が起きてしまった。
これで分かったんだ。
あたしには友達なんてできないって。
『きゃー!久しぶりの町だー!』
恵「お嬢様っ、待ってください!」
町に来たあたしは周りの人も気にせず叫ぶ。
すると後ろから恵里さんが走ってくる。
恵「もうっ。町と言っても屋敷からは遠いですし勝手にいなくなったりしないでくださいね。」
『はーい!』
恵「返事をしながら他のところに行こうとしないでくださいー!!」
だってだって!
町なんて久しぶりなんだよ!?
ずっと屋敷に篭ってたから楽しみすぎる。
確か最後に町に来たのは…。
………。
恵「お嬢様?どうかしましたか?」
隣に来た恵里さんが顔を覗き込んでくる。
『なんかお腹すいたー!』
恵「えぇ!?今ですか!?」
『ねぇ恵里さん。買い物終わったでいいから、帰りに団子食べて帰らない?』
恵「可愛いお嬢様のお願いなら。」
『なーに言ってるんだか。』
恵「いいえ!お嬢様は誰もが振り返る美人なんですから!」
『お、落ち着いて。』
何故か恵里さんってあたしのことになると強気になるよね。
よく分からないけど嬉しいなぁ。
恵「ではまずお肉から買いに行きましょうか。」
『あたし牛肉好きー!』
恵「はいはい。知ってます。」
『牛肉!牛肉!牛肉ー!』
恵「ちょっとお嬢様っ!?」
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作者名:暁月 | 作成日時:2020年7月17日 23時