同級生はどうやら頭がおかしいらしい。【鬼滅の刃】

8話「スカートめくりは小学生男子の特権でしょ」 ページ9

善逸side

中学の時に引っ越したっきり、すっかり疎遠だったAちゃん。正直、入試会場で会えたのも合格発表で名前を見つけた時も運命だと思った。

声をかけてくれれば良かったのに、と言われたけど実は何度かクラスに様子を見に行ったことがあるのだ。声は……かけられなかったけど。



「だって、あんなに綺麗になってるんだもん。声かけられるわけないじゃん……」


帰ってきて速攻でベッドに飛び込む。 まさか委員会で一緒になるとは。代理だったけど。姿を見て、考えるより先に名前を口にしていた。覚えてなかったらどうしようと後悔したけど、結果オーライだ。

にしても、中身全然変わってなかったなぁ。あの頃のまま、優しい音がした。優しくて、真っ直ぐで心地いい音。




俺は昔、人付き合いが苦手だった。小さい頃から耳がよく、感情や考えが手に取るように分かった。聞こえたことをズバズバ口にしていた俺は、当然ながら周りから浮いた。気味悪がられ、そこで初めて俺は普通じゃないのだと幼いながらに思い知った。

言いたいことがあっても口には出さず、1人でいることを好むようになった俺は、小学校に上がっても孤立していた。家に帰れば爺ちゃんもいたし、居場所が無いわけではなかったけど……寂しかった。

俺も皆と思いっきり遊びたかった。学校帰りにこっそり駄菓子買い食いしたり、カードゲームしたり、女子のスカート狙ったり。


そんな時声をかけてくれたのがAちゃんだった。傷つくのが怖くて、傷つけるのが怖くて最初は避けていたけど、それでも諦めずついてくるAちゃんに、いつしか心を許すようになっていた。

クラスで男女ともに人気のあったAちゃんと仲良くなったことで、すんなりとクラスに溶け込めた俺は、爺ちゃんもびっくりするくらい変わった。良かったなぁ、と泣いて抱きしめられた時は、心配をかけていたんだと少し申し訳なかったな。



バス間に合った？とおくったLINEに、先程返信が来ていた。無事バスに乗って帰れたとの事。今、お母さんと善ちゃんの話で盛り上がってるよ！！という文面をみて自然と顔がにやける。

昔はよくお互いの家に遊びに行ってたなぁ、と思ってると、いつでも遊びにおいでってお母さんが言ってる！と送られてきた。もうこんなの行くしかないじゃん！！？


ウフフフフ！！とスマホを握りしめながらベッドで暴れる。


と、ふと今日会った竈門くんを思い出す。あの時感じた音…。ちょっと、嫌な感じがしたんだ。

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