40話「久しぶりの」 ページ40
「……どうか、見守ってあげてね。有一郎くん」
ご両親の隣に、新しく立てたお墓。いつものようにお花を供えて、手をあわせた。
また来るね、とそう告げて私は山を降りる。
目覚めた次の日から、3ヶ月の遅れを取り戻すために毎日必死で回復に向け鍛錬した。一日でも早く戻らなければ。
鬼殺隊として活躍している人の中で、いざ目の前で知り合いが命を落とした時、それがトラウマとなり刀を二度と握れなくなる人はそう珍しくないのだそう。
それを心配していたのか、庭で鍛錬している私を見たあまね様はどこかほっとしたような表情を浮かべていた。
完全とは言えないけれど、ある程度体力も回復し動けるようになった私の次の行動は決まっていた。
竈門家を助ける。誰も、絶対に殺させはしない。
正確な襲撃日は分からないものの、ある程度絞り込むことは出来る。確か1話のあのシーン。雪が積もっていた。1度降ってしまえばそこからピンポイントで導くのは難しいけれど、今年の初雪はまだだ。とりあえずの目安として考えていいだろう。
そして、手がかりはもうひとつ。あのシーン。鬼化した禰豆子ちゃんと困惑しなんとか助けようとする炭治郎の前に姿を現した人物。その人物の動向を探り、先回りすれば可能性は十分にある。会いに行ってみるか。
「元気にしてるかな、義勇」
えぇっと……確かにこっち…あれ、こっちかな。
教えてもらった地図を頼りに進んでいるのだが、どうも私は方向音痴らしい。転生前から地図は苦手なんだ。スマホのアプリでも危ういのにこの時代の手書きの地図なんてもっと無理だわ……ぴえん。
しかもこれどっちをどう見ればいいのかさっぱりわからん。グルグル地図を回しながら頭を捻っていると、飛んでくる一羽の烏。コッチダ!!と教えてくれた。
さっすが相棒!頼りになるぅ!!!!
聞いた情報によると、義勇は柱になり、専用の御屋敷を持っているらしい。立派なもんだ。正直、錆兎が生きてるからどうなるかと思ったけど、そこは変わらないのね。
「しっかし、あの義勇がねぇ……冨岡…あ、ここだ」
バサバサと降りてきた相棒は私の肩に止まり、すりすりと頭を擦り付けてきた。なんだろう…気のせいかも知れないけど、時透兄弟の一件からやけにくっついてくるんだよな。助けを呼びにあまね様の元まで飛んだくれたらしいし、心配かけてしまってるのかな。
優しく撫でると心地よさそうに目を細めている。猫かお前は。
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時