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39話「覚悟」 ページ39

有一郎くんの方は、私が尋ねたあの日の時点でもう息をしていなかったのだそう。無一郎くんの方は、随分と弱っていて、危ないところだったけどなんとか一命を取り留めたらしい。

私の鎹烏があまね様のところまで飛んで、異変を知らせてくれたおかげでより早く助けられたと、そう話してくれた。


「駆けつけた時は本当に驚きました。なんせ、青い炎に全身を包んだAさんが2人をおぶって山を降りようとしていたのですから」


青い炎……全然覚えてないけど、使ったんだその力。けど結局助けられてない。既に亡くなった人には効果がないのは分かりきってる。分かりきってるけど、それでも助けたかった。有一郎くんにも生きていて欲しかった。これじゃ、何も変わってない。


「こんな力…あっても結局、助けられなければ意味なんてないのに」


ぎゅっと布団を握りしめる。ボロボロと涙が溢れた。

なんて無力なんだろう。なんでもっと早く駆けつけてあげられなかったんだろう。きっと、もっと頑張ってれば、合間に様子を見に行くだけでも出来たはず。後悔ばかりが押し寄せてきて、ただひたすら泣くことしか出来ない自分が腹立たしかった。


とりあえずあまね様には帰ってもらった。こんな姿見せたくなかったし、困らせてしまうだけだ。また来ます、とそう言ってあまね様は帰った。今、無一郎くんがいる住所の紙を置いて。療養中らしいが、記憶を失い、以前とは人が変わってしまった様だと教えてくれた。

会えるわけない。どの面下げて行けばいいのか分からない。し、きっと私のことも覚えてないはず。


ごめん無一郎くん。ごめん有一郎くん。2人のこと助けてあげられなかった。




3ヶ月、私が眠っている間にこの事を聞きつけたやまとちゃんや、義勇、錆兎が様子を見に来てくれていたらしい。3人にも暫く会ってないし、心配かけちゃったな。


けれど、今回のことで分かったことがひとつ。
キャラクターの死を覆すのは容易ではない、ということ。確かに錆兎のときは自分の体を張って、未来を変えようとした。けど、今回はどうだ。お守りを渡して戸締りをするように言っただけ。忙しかったのは言い訳になんてならない。本気で未来を変えたいのであれば、それ相応の動きをしないといけない。



この世界に踏み入れた時から分かってはいた。力を持っていると知った時にも再確認した。平凡に静かになんて暮らせないのだと。ただ逃げているだけだと。


「攻略してやる。絶対」

40話「久しぶりの」→←38話「嫌な予感」



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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時

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