36話「距離」 ページ36
次の日。
今日は何も予定が無いため、あまね様は居ないけれど、1人で時透家を尋ねることにした。あのまま置いてきちゃったし、心配だったんだよね。
原作だと喧嘩して、そのまま口を聞かなくなっちゃうんだ。そして有一郎くんが鬼に襲われてしまう。そんなの悲しすぎるじゃないか。
「ごめんください」
…………あれ、返事がないな。留守か?……よく耳を済ませると、なんか、水の音聞こえる。井戸の方かな。行ってみるか。
音のする方へ向かうと、そこには私が毎回供えている花の水を変えている後ろ姿。無一郎くんかな、そう思い声をかけようとして踏みとどまる。
あれ………違う。あの服の柄…え、有一郎くん…?
ビクっと反応してこちらへ振り返り、目を見開く有一郎くん。
おぅ……声が出てたみたいだ。おしゃべりなお口だァこいつめ。
「…………おまえ、」
「あ、はは、昨日はどうも。気になって来ちゃった」
帰れ!!!!!って怒らせちゃうかなと覚悟してたんだけど、あらら?いつもの怒号が飛んでこない。
「………無一郎ならいないぞ」
「あ、そうなんだ」
「…………」
「…………」
え、なにこの沈黙。え、ど、どうしよう。とりあえず、なにか、なにか話題……
「それ、その花。てっきり無一郎くんが水変えてるのかと思ってたよ」
「俺じゃ悪いか」
「いやそうじゃなくて」
「やっぱお前だったんだな、毎回毎回律儀に花供えてたの」
「まぁね。あ、これ今日の分。加えてもいい?」
「………好きにしろよ」
「ありがと」
なんだろう。やけに素直…というか。いや口の悪さと態度は相変わらずなんだけど。
花を供えて、いつものように手を合わせる。その間ずっと視線を感じていたけど気にしない気にしない。
そのまま家にもいれてくれた。多分これが有一郎くんのホントの姿なんだろうな。きっと根は優しい子なんだ。
「ご飯の準備?手伝うよ。無一郎くんいないみたいだし1人じゃ大変でしょ。これでも少しは料理できるんだよ」
「……勝手にすれば」
2人並んでご飯の支度を進める。なんかちょっと異様な光景だな。無一郎くんが見たらなんて言うだろう。
「…………悪かったな、殴って」
「…!見た目腫れちゃってるけど、もう痛みもないし平気だよ」
それ以上は何も話さなかったけど、なんとなく、勇気を振り絞って謝ってくれたのは伝わった。
と、そこへ無一郎くん帰宅。私がいること、しかも2人並んでご飯作ってることに相当びっくりされた。
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時