20話「優しい手」 ページ20
疲労困憊。まさしくこの一言。正直ここまで疲れたのは初めてだ。体が、一歩一歩が重い。支給された服が石のようだ。しんどそうなやまとちゃんの荷物を半分ぶんどって持ってるのもあるけどな。
すれ違う人は皆揃って心配そうにこちらを見ていた。そりゃそうだ。ボロボロのヨレヨレだもんな。帰ったら1番にお風呂に入りたい。
休みつつ、励ましつつ、歩みを進めなんとか村付近まで帰ってきた。炎の力でやまとちゃんのかすり傷等は治ったといえど、1度消耗した体力が戻るわけではないようだ。このことも帰っておばあちゃんに話してみるかな。
「…おい、あれ!!!Aとやまとじゃねぇか!?おぉい!!!!」
「ほ、ほんとだ!!あんた、皆を呼んできな!!!」
いち早く気づいてくれたご近所さんが走りよってくる。ああ、7日間離れてただけなのにめちゃくちゃ久しぶりに感じる。むぎゅっ!!と抱きしめられた時は苦しかったけど。
集まってきた皆に荷物を持ってもらい、手を貸してもらいながら、なんとかおばあちゃんの家の前についた。ゆっくりと、扉が開いて中から出てくるおばあちゃん。その姿を見た瞬間、視界が潤んだ。
「おばあちゃん、ただいま…!!」
「ただいま、帰りました…!!」
「おかえり、2人とも。よく…よく生きて帰ってきてくれた…!!」
泣きながらおばあちゃんに飛び込むやまとちゃん。受け止め、その頭を愛おしそうに、大事に撫でるおばあちゃん。その目には涙が浮かんでいた。
よかった。色々、本当に色々あったけど、帰ってこられたんだ。大好きなこの家に。大好きなおばあちゃんのところに。
「ほら、なにをしているの。Aもおいで」
「え。あ、や、私は…!」
親子ではないけど!水入らずのところを邪魔する訳にはいかないじゃないか!!と遠慮していると、背中を誰かに押された。おい誰だ押したの!!!!!!
「こんなに傷だらけになって…」
そう言って私の頬に触れたおばあちゃんの手は震えていた。存在を、温かさを確かめるように、何度も撫でられた。優しくて、暖かい大好きな手。出会ったあの日、差し伸べてくれた大好きな手。我慢していたけど、結局私も泣いてしまった。
こうして、最終選別は幕を閉じたのだった。
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作者です。
な、なんか凄いことになってるんですが!!
ありがとうございます!
コメントもニヤけながら読んでます(きも)
マイペースに頑張りますのでお付き合い頂けると幸いです。
21話「ひょっとことことこ」→←19話「またいつの日か会えますように」
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時