16話「弱い」 ページ16
目の前に見える景色がスローモーションのように見えた。名前を叫んだやまとちゃんと、支えられている義勇。私が反応するよりも先に、そちらへ別の手を伸ばす鬼。まずい。
私の方に伸ばされた手を足場に蹴って、無理やりに体の方向を変え、2人を庇う。ギリギリで背中を突き飛ばしたが、もろに攻撃を受け、咄嗟で受身を取り損ねた私は吹き飛ばされそのまま木に激突した。いっっってぇ、なにこれ超痛い。多分、肋数本いったなこれは。
「ぐっ、、」
「A…!!」
キッ!と手鬼の方を睨むんで、刀を構えるやまとちゃん。
「やまとちゃん待って!!」
「生きて帰る。絶対、生きて帰るんだから!邪魔はさせない!!!!」
勢いよく斬りかかっていく。だめだ、今のやまとちゃんじゃ、防ぎこそ出来れど間合いに入れない。これまでの疲労が出てる。それに呼吸も乱れてる。
「アァァ!!!!さっきから次々と邪魔くさい!!!まずはお前からだァァァ!!!!」
手数が増えた。今までよりも早い。視界の隅に駆け出す義勇と錆兎が見えた。けど、間に合わない。
捕まる。私の目の前で。大事な人が。必死に手を伸ばすが届かない。体が動かない。
守るって決めたのに。おばあちゃんからも頼まれたのに。あんなに懐いてくれたのに。一緒に生きて帰るって、約束したのに。
「やまとちゃんッッッッ!!!!」
腹の底から叫んだ。叫ぶことしか出来なかった。ここで過ごして、他の人を助けて、強くなった気でいたんだ。呼吸もろくに使えないやつが、そんなはずないのに。ごめんね、やまとちゃん。ごめんね、おばあちゃん。守れなかった。
______私は、弱い。
グラグラと景色が歪み、視界が狭まっていく。何も出来なかったくせに、気を失うのか。どこまでも役に立たないな、私。
気を失うのか直前、響き渡る絶叫と、ほのかに何かが燃えているような焦げ臭さを感じながら、わたしは意識を失った。
___________
作者です。
読んでくださってる方、ありがとうございます。
思ったよりグダグダで進みません。
まだまだ不慣れですが、お時間があればお付き合いいただけると幸いです(´-ω-`)
17話「正体不明の力」→←15話「悪口のレパートリーが少ない系女子」
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時