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Yoshinori side
いつかやるんちゃうかなと思ってた。いや、「やられる」の間違いか。
リ「正門、A怖がってるし、もうやめたって」
あと数cmでくっついてしまいそうやったくちびる。名残惜しかったり、ちょっとホッとしたりしてる。
Aのほうを見ると、泣いてはいないものの、ショックを隠しきれない様子で手の甲で口を覆っていた。さすがうちの紅一点や。こんなことでは泣かへんねんな。
末「まあ、これでわかったと思うからもうこの話終わりな。A、気ぃつけえよ」
リ「グループのためやなくて、おまえのために言うてるから。なあ、正門」
正「お酒好きやのに、反省して禁酒もしてるわけやもんな。Aは女の子やねんから、ほどほどにな！」
小「そーそー、曲がりなりにも女性ですからね」
「小島くんほんましばく」
いつもの心地良い空気に、小島が戻してくれた。こいつのこういうとこ、ほんますごいよな。
もともとの性格か、それとも「ほぼ幼なじみ」の余裕か。
「心配かけたおわびに、みんなの分の飲み物買ってきます！全員トマトジュースでいいやんな？」
いつも通りに戻ったAは、大晴の「おわびの品がもう酒飲みのセレクトなんよな」というツッコミを聞いてか聞かずか、レッスン室を出て行った。
トマトジュース言うて、しっかりコーヒー買ってきてくれるんやろなあ、なんて考えながら靴紐を結んでたら、いつになく真剣なあいつの声が上から聞こえた。
わかってたよ、2人はこっち来るやろなって。
福「牽制したやろ、まっさん」
小「まっさんって男やったんやなあ」
正「Aにはそりゃ、あれくらいしたほうがええやろ」
福「ちゃうって、俺らにもや」
そんなんしてへんよ、って言っても信じひんやろな大晴は。
福「そんなことしても逆効果やけどな」
正「やー、ちょっと余裕失っただけよ？」
小「まあでも、ありがとまっさん。助かりました」
僕らはいつも、虎視眈々と、あの子の首元を狙っている。
「ただいま〜！なんやかんや言うてもブラックコーヒー買ってくると思われてそうやと思たんで、ほんまにトマトジュース買ってきました〜！飲んでください！」
正「裏の裏まではかけんのね、A」
(僕のものにはならへんくても、せめて誰のものにもならんといて)
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月4日 19時
