6話 理由は ページ8
「お優しいのですね」
土方はクスリと意地悪そうに笑みを浮かべた。それを見た零は土方に背を向ける。
「さっきも言っただろう?お前に倒れて貰っては僕が困るんだよ。いいか、学校ではあまり目立つような事はするな。…と言うか、なんでお前まで学校に…」
最後の方はほぼ愚痴のようにブツブツと呟くと、土方は目をぱちくりさせる。
「…私はただ坊っちゃんに忠実に従ったまでですよ」
振り返ってみると、眼鏡の下からニコリと不気味な笑顔を見せる土方の姿があった。
「はぁ?僕がいつ学校に来いと…」
と言いかけると、入学した時の出来事を思い出した。
(いけません坊っちゃん、学校に行くなど!それでなくても坊っちゃんは企業の社長なんですよ!もし何かあったりしたら…)
(煩い!僕はもう16になるんだぞ!自分の事ぐらい自分でできる!何があろうと高校には行くからな…そんなに心配なら教師にでもなって見張っていたらどうだ)
冗談のつもりであんな事を言った。いきなり教師になるなんて出来ないと思ったからだ。
けど、入学して3日後。奴は教師の資格を取り、僕の高校の教師としてこの学校に入ってきた。
…なんて、出来事は確かにあったな。
馬鹿な考え方なのに、やる事は天才だな。
「あー、そうだったな」
そう呆れ混じりに深く溜息をつくと、僕は振り返らず手を振った。
「こんなところを他の生徒に見られたら一巻の終わりだ。…さっさとお前は持ち場に戻れ。血はなるべく目立たないようにしておけよ。…最も、お前が倒れる事なんて無いんだろうけどな」
最後の方はとても小さく、呟くように言うと僕はその場を離れた。
「承知しました。ご主人」
僕の後ろから、そんな土方の声が聞こえた気がした。
「へぇ…そうゆう事」
そう口元を歪めた人物がそんな僕達を見ていたとは知らずに。
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夜蛍(プロフ) - 太陽さん» ありがとうございます!某執事好きなのでなんかそれらしくなっちゃいましたw (2015年7月1日 16時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - 何か黒〇事に似てるけど、とても面白いです! (2015年7月1日 16時) (レス) id: 6090b1bd34 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - ありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2015年6月28日 7時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
夜蛍(プロフ) - 巴御前さん» 大丈夫です、テスト頑張ってください^ ^ (2015年6月27日 20時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - 夜蛍さん» 返信遅くなってすみません 毎週買っているんですね!いいですね(*^-^*) ぜひ見てみてください(*^▽^*)すごく面白いですよ! 僕は今、月曜日にあるテストに追われてます( ノω-、) (2015年6月27日 20時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜蛍 x他1人 | 作成日時:2015年6月13日 18時