37話 外出しようか ページ39
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「チェックメイト」
「…っあ!」
そう言ってチェス盤の駒を動かすと、沖田の悲鳴になっていない声が室内に響き渡る。
「はい、また僕の勝ち」
「…っ!もう一回だ!もう一回!」
納得がいってないようで、沖田は勢いよく立ち上がると怒鳴るように言った。
「嫌だね。これで何回めだよ…。トランプに将棋、オセロ、チェス…全敗じゃねえか」
「う、五月蝿え!てか大体ボードゲームなんて俺はそんなにやらねえんだよ!ちょっとは手加減しろ!」
「嫌だね…つーか、流石にもう飽きた」
時計を見てみると針は10のところを指していて。…もうあれから2時間、ぶっ通しでやっている。
よくよく考えたら、土方無しでの外出は出来ないんだったな。
お陰で屋敷の外には出れず、こうやって客間でボードゲームをやっている。
流石にこれで1日は持たねぇぞ?
「…沖田ー、暇で死にそう。なんか無いの?」
人とあまり関わろうとしていなかったために、こうゆう時どうしたらいいのか分からない。
「それは、こっちの台詞なんでィ…もう、こうなったら外出しないですかィ?」
「…お前、2時間前にも同じ事言ったよな?僕は屋敷の外には出られないんだよ!」
呆れ混じりに言うと「あー、そーいやそうだったっけな」と頭をかきながら言った。
「…つーかお前、学校以外本当に外出できないんだな。…外に出たいとか思わないの?」
その沖田の言葉に、零は考え込むように静かになる。
これが普通だと思ってたから、そう考えた事もなかったんだよな…。
「…思った事、てか考えた事すらなかったよ。…まあ、確かに出たいとは思うけどさ…」
僕がこの屋敷から出ないのは、吸血鬼に襲われる可能性を低くするため…である。
まあ、確かに吸血鬼の連中は主に活動するのが夜だから襲われることは少ない…けど。
僕の血は、なんでも吸血鬼達にとっては「特別」らしく…。
土方のように、昼間動ける奴を呼び寄せる可能性があるから…とまあ、こんな感じだ。
そんなことを一人、頭の中で考えていると何時の間にか沖田の顔が僕の顔のすぐそばにあった。
「…な、なん…」
「じゃあ、出ますぜィ」
「は?」
そう言って沖田は僕の手を掴み、引いた。
「何時までも屋敷にいるのは流石に暇なんでさァ。…それに今はあの煩い土方が居ないし、バレなきゃ大丈夫だろィ」
「…で、でも」
「ほら、行きますぜィ」
そう言うと、僕は半ば無理矢理屋敷の外へと連れ出された。
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夜蛍(プロフ) - 太陽さん» ありがとうございます!某執事好きなのでなんかそれらしくなっちゃいましたw (2015年7月1日 16時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - 何か黒〇事に似てるけど、とても面白いです! (2015年7月1日 16時) (レス) id: 6090b1bd34 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - ありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2015年6月28日 7時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
夜蛍(プロフ) - 巴御前さん» 大丈夫です、テスト頑張ってください^ ^ (2015年6月27日 20時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - 夜蛍さん» 返信遅くなってすみません 毎週買っているんですね!いいですね(*^-^*) ぜひ見てみてください(*^▽^*)すごく面白いですよ! 僕は今、月曜日にあるテストに追われてます( ノω-、) (2015年6月27日 20時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜蛍 x他1人 | 作成日時:2015年6月13日 18時