21話 恐怖 ページ23
「ククッ…大変だったよ。金もかかるし、警察の目を欺くのも大変なものだ…。
だが、お前の企業を潰せば俺の会社がトップになる。そうすれば楽に金も手に入るし、麻薬やドラッグも隠せる…。
すでにお前の会社にはこちらの要求を聞かないとお前を殺すと電話を入れておいた。
もう、お前は終わりだぜ。ガキ」
そう言うと男は、もう勝負が決まったかの様に笑みを浮かべた。
そんな男の様子に、零は思わず吹き出し、ケラケラと馬鹿にするように笑って見せた。
「な、何が可笑しい!」
そんな男の焦り混じりの声に一旦息を吐くと、ゆっくりと顔を上げた。
「…成る程な、つまり僕は人質ってわけか。…だけど生憎僕は死なないし、其方の要求に応える気もない。残念だったな」
「…んだと…」
ドガッ
零の腹にもう一度蹴りを入れる。吐血をすると、暗いのにも関わらず、血の色がはっきりと分かった。
「…ははっ、ざまあ…」
トゥルルル…
そう男が言うと、男の持っていた携帯に着信が入り、静かな部屋に響き渡る。
「あ?もしもし、どうし…」
「…ちが…助けて…」
「おい、どうした!」
携帯の向こうからは、何か恐ろしい物でもみたかのように震わせた部下の声が、蚊の鳴くような声で聞こえてきた。
「…な、仲間の叫び声が聞こえてくるんです…!ボスも早…うわあああああ!」
「おい!何があったんだ!おいてめえら!」
そう言ったと同時に、話していた部下の声は聞こえなくなった。
頭が混乱する中、ただ一つ分かることは。
「何かがもうすぐ来る」
ということだけ。
部下の悲痛な悲鳴に、これから起こる悍ましい出来事を想像し、ガタガタと体を震わせた。
「…もしもし、小鳥遊家の執事の土方と申しますが…」
先程の携帯から、部下ではない声が聞こえてきたので思わず男は「…っひ」と小さく悲鳴を上げ、携帯を床に落とした。
「…其方に主人はおられますか?」
低い声が静かな部屋に重々しく響き渡り、男の顔はみるみるうちに青ざめていった。
「い、いねえ…」
「僕はここだ。早く来い」
男が言ったのを遮って、額から垂れてくる血を舐めながら零が少し大きめに言うと、携帯から
「では、直ぐにでも伺います」
と声が聞こえブツッ…と着信が途絶えた。
しばらくしない間に、廊下の方からカツン…カツン…と何者かが此方に向かってくるような音が聞こえてきた。
男は直ぐに零の頭に銃を突きつけ、扉の向こうを睨みつける。
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夜蛍(プロフ) - 太陽さん» ありがとうございます!某執事好きなのでなんかそれらしくなっちゃいましたw (2015年7月1日 16時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - 何か黒〇事に似てるけど、とても面白いです! (2015年7月1日 16時) (レス) id: 6090b1bd34 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - ありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2015年6月28日 7時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
夜蛍(プロフ) - 巴御前さん» 大丈夫です、テスト頑張ってください^ ^ (2015年6月27日 20時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - 夜蛍さん» 返信遅くなってすみません 毎週買っているんですね!いいですね(*^-^*) ぜひ見てみてください(*^▽^*)すごく面白いですよ! 僕は今、月曜日にあるテストに追われてます( ノω-、) (2015年6月27日 20時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜蛍 x他1人 | 作成日時:2015年6月13日 18時