14話 体育で ページ16
ダンっ
ボールが弾む音が体育館に響き渡り、それを追うように大勢の足音が聞こえてくる。
キュッ、とシューズの音が途切れることなく響くとハァと息を漏らしながら走る。
手に持ったボールが指から離れると、綺麗なループを描いて目の前のゴールに入っていった。
ピピー!
「試合終了!」
そう審判の声が聞こえると、ギャラリーから一斉に歓声が響いた。
「流石零アル!」
「相変わらず凄いわね!」
「俺だってこんな長髪じゃなかったらベンチなどで止まらず世界大会まで行けるというのに!」
「だったら早くその暑苦しい長髪切れよ、ズラ」
「ズラじゃない!桂だ!」
そんな声が聞こえる中肌を伝った汗を拭うと、冷えきった体育館の壁に寄りかかる。
運動したあとの汗というのは他の汗と違って気持ちいいものだ。窓からふいた風に当たると、汗が冷えて体の体温を冷ましていく。
この瞬間が何よりも好きだ。
「次は女子が試合だ。早く準備しろよー」
彼奴が居なければもっとな!
そう、女子に呼びかけている土方のことを睨みつける。
もう今日は学校で会わないだろうと思っていたのに。まさか、いつもの先生が出張なんて。
とゆうか、なんであいつなんだ!?
普通は担任の銀八じゃねえのか?
そんな事を考えていると、土方と目が合う。
てか、なんかこっちに向かってきてないか?
土方は僕の前でピタリと止まると、不機嫌そうに僕を見下ろした。眉は下がってて、相変わらず瞳孔を開きっぱなしの目で睨みつけてくるし、よっぽど怒ってんな。
「…また、出ませんでしたね。俺の授業」
近くに生徒が居ないせいか、土方は敬語になっている。あ、でも「俺」って事は教師モードのままか。
「何時も出るように言っているだろ…単位下げるぞ」
「別に他の教科は出てるから留年するって事はないだろ…?知らないけど。とりあえず、早く戻れ」
そう言いつつちらりと沖田のほうを見てみる。…やばいこっちめっちゃ見てる!
しかも、なんか不機嫌そうだし。
「……へー」
土方はしばらく考えてから、少しだけ口角を上げた。
「…あと男子は一回試合できるんですが、坊っちゃんがまた俺の授業サボりそうですから、少し反省して貰わないといけませんね」
そう小声で何かを呟くと、立ち上がり後ろを振り向いた。
「おい、誰かー!小鳥遊を保健室に連れてやってくれねえかー?熱中症っぽいから」
は?何言ってんだこいつ!?
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夜蛍(プロフ) - 太陽さん» ありがとうございます!某執事好きなのでなんかそれらしくなっちゃいましたw (2015年7月1日 16時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - 何か黒〇事に似てるけど、とても面白いです! (2015年7月1日 16時) (レス) id: 6090b1bd34 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - ありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2015年6月28日 7時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
夜蛍(プロフ) - 巴御前さん» 大丈夫です、テスト頑張ってください^ ^ (2015年6月27日 20時) (レス) id: 5105134f07 (このIDを非表示/違反報告)
巴御前 - 夜蛍さん» 返信遅くなってすみません 毎週買っているんですね!いいですね(*^-^*) ぜひ見てみてください(*^▽^*)すごく面白いですよ! 僕は今、月曜日にあるテストに追われてます( ノω-、) (2015年6月27日 20時) (レス) id: c08cf44779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜蛍 x他1人 | 作成日時:2015年6月13日 18時