【黒子のバスケ】愛してる、なんて嘘。

Liar 23. ページ28

　
　
　『 さつきちゃん。私、別れた。』
　

　
　
　そう、唐突に口にしたのはさつきちゃんに着付けをしてもらっているときで。
　
　
　
　私は実家に帰省してきたと同時にさつきちゃんと今日の花火大会に行く準備をしていた。
　
　
　
　私の唐突な発言にさつきちゃんは驚くこともなく、鏡越して優しげに微笑んだ。
　
　
　
　「Aちゃんがそれでいいなら私は何も言わないよ」
　
　
　
　『 …うん。今まで話聞いてくれてありがとね。』
　
　

　「ううん！全然いいの！
　
　
　
　よし、着付け完了！Aちゃん似合ってるよ〜」
　
　
　
　
　そう言って、花の咲くような笑顔を私に向けて肩をポンポンと叩かれた。
　
　
　さつきちゃんは相当楽しみなのか、我ながらいい出来！！と鼻息を荒くして呟いている始末だ。
　
　
　さつきちゃんを見て、何となく心が軽くなった気がした。

　
　
　＊
　
　
　午後6時。
　
　祭り会場に行くと、かなりの賑わいを見せていた。
　
　
　オレンジ色のライトが光って、屋台についているモーターの音が聞こえて、家族や恋人、友人同士できている人たちの声もすっかり祭りのBGMと化している。

　
　
　カラフルな集団を探すがなかなか見つからない。こんな人混みでも、背が高いから頭が突き出てると思ったのだけれど。
　
　
　さつきちゃんと2人、時折ナンパをしてくる男を蹴散らし((…じゃなかった。やんわりお断りしながら前に進む。
　
　
　
　『 人多すぎ…』
　
　
　
　「ほんと…何これ人酔いしそうだよ
　
　
　
　
　ってあ！いたいた！Aちゃんいたよっ！！！」
　
　
　
　私の片腕をブンブン上下に振りながら前に進むさつきちゃんに引きずられるよう連れていかれれば、人並外れたところにカラフル集団。
　
　

Liar 24.→←Liar 22.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す