ごめん、好きみたい。 (ページ4)

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「ごめん、俺Aのことそういう風に見たことなくて...」
やっぱりな、と思いつつ、「ううん、こちらこそごめんね」と言うと、涼くんは慌てて首を横に振る。

「や、そうじゃなくてさ、」
「?」

「言ってること変かもしれないけど...Aのこともっと教えて？」
「え、？」
僅かに残った希望にかけて、もう一度聞き返す。

「恋愛対象としては見たことないとか言いながら、俺あんまAと話したり遊んだりすることないじゃん？同じグループなんだし友達なんだし、もっとAのこと知っていきたいから、断った訳じゃなくて保留させて欲しいっていう、ごめん俺説明下手だわ」
そう言って恥ずかしそうに笑った顔を、誰よりも多く独り占めできるチャンスがまだある...?

「もちろん、です...」
「いやなんで敬語？」
「ごめんてっきり振られたかと思った...」
「振ってねーよ笑、よし、じゃあ何から聞こうかな～」
うーんとか言いつつ考え込むフリをする涼くんに「なんでも聞いてよ、」と相槌を打つ。

「じゃあね～...あ、好きな食べ物！」
「うーん...甘いものは基本好きかなぁ、あとはカリカリ梅とか、全体的に多分10代女子の好みとしては甘いものぐらいしか合ってない笑」
「でも俺も焼いたカブ好きだから同じじゃん、醤油付けて齧るのが上手いんだよね～」
「そうなんだね笑」
「まあカブとかカリカリ梅は別にこれじゃあお互いのことそんな知れないよな～..」

そう言いながら、涼くんは何か思いついたように顔を輝かせる。

「A、土曜空いてる？」
「空いてる、けど...?」
「俺美味しいパンケーキ屋さん知ってるからさ、食べに行かね？」

.......ん？

それってデートでは...?

「行きたい!!」
「よし、じゃあ決まり、詳細はまた連絡するね、」

そう言って慣れた手つきで連絡先を交換すると、スマホに目を落とす。

はしもとの文字と男友達とのプリクラアイコン。

私は愛おしそうにそれを眺めた。