優しい手 ページ50
やっぱり思うんだ
カミサマってやつは、残酷だって
「＿＿あぁもう！早くしないと侑斗に置いてかれる！」
デンライナーへと戻ったAは焦りながら帯を解いていく
行くまで待っててくれるとは思うが、そうは言っても遅ければ業を煮やして先に行ってしまうだろう
めったに着る機会のない着物を雑に扱ってしまうことに心が痛むが、今はそうは言っていられない
バサリとベッドへ投げ置くと急いで私服へと着替えていく
「…よし終わり！！ハナさんに謝ってから行こう！」
借り物の着物を脱ぎ散らかしたまま行くのは気が引けたので、一度食堂車へと顔を出すため部屋のドアを開ける
するとそこには珍しい人物が壁にもたれかかっていた
「え…、キンさん？どうしたんですか、こんな所で」
「よぉA。今から行くんか？」
「うん。着替えてこいって侑斗に怒られたのよー。最近オカンっぽくない？アイツも」
「ははっ、まぁさっきの着物のままじゃ戦えへんよ。可愛かったから残念やけどなぁ」
キンタロスは一笑いすると組んでいた腕を解き、その手をAの頭へとそっと置く
「…気ぃつけていけよ」
「？うん。大丈夫だよ？」
そう返してみたものの、キンタロスは撫でる手を止めない
不思議に思いキンタロスを見るも、穏やかに笑うだけ
「…キンさん？どしたの？」
「やっぱり心配やなぁって思ってな。Aは良太郎達と違うて生身で戦っとるやろ。今さらそんなん言うてもしゃあないのは分かっとるんやけど、Aは女の子や。傷ついてほしくないんよ」
そう溢すキンタロスに、いつかの姿が被って見える
あれは確か、人間化したキンタロスと水族館に行った時
あの時もこうやって優しく頭を撫でてくれた
「…やっぱりキンさん、お兄ちゃんみたい。いた事ないけど、いたらこんな感じなのかなぁ」
「“お兄ちゃん”、なぁ…。
＿＿その先には、なれへんのか…？」
「え？何？」
ボソリと放たれた言葉をうまく聞き取れず、Aは小首を傾げる
その様子にキンタロスは小さく笑うとAの両肩をポンと叩いた
「…いや、何でもあらへん。早よ行きぃ、置いてかれるで？」
「それは困る！じゃあ行ってきますキンさん！あ、着物脱いだままなんでハナさんに謝っておいてくれると嬉しい！」
早口に言うと、Aは慌てて空間を飛んでいった
「＿＿じゃあなぁ… A……」
ポツリと溢れた言葉は空気に溶ける
踵を返すとキンタロスは食堂車へと戻っていった
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茉南(プロフ) - ちゃちゃさん» 読んでいただきありがとうございます！蟠りがなくなった彼らのやりとり、私も楽しんでます（笑）これからの二人の関係性もまた書いていくので楽しみにしていてください！ (2021年1月24日 17時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃ(プロフ) - もう、夢主と侑斗の関係性大大大好きです！これからも愛読させていただきます！！ (2021年1月24日 8時) (レス) id: f790642b1e (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - めめめさん» ありがとうございます！電王大好きで、とうとう手を出してしまったのですが…楽しんでいただけたのなら幸いです(^^)最後まで頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年12月31日 21時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
めめめ - 最近電王を一気見してどハマりした者です…！この作品も2日で一気に読んでしまいました…！とても面白くて私好みで大好きです！これからも投稿頑張ってください！応援しています！！ (2020年12月31日 3時) (レス) id: f4d936584d (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雪華さん» こんばんは！ポケモンはなんとなく知っていますが…何ですか？ (2020年10月22日 19時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2020年10月15日 13時
