優しい瞳1 ページ1
「＿＿A？」
昼下がり
ふらふらとあてもなく散歩をしていて、ふと目に入った公園
何となく足が向いて園内を歩いていると、遠くの方から歓声が聞こえてくる
その歓声が聞こえる方向に歩いていくと、学生がたくさん集まっていた
どうやら大会でもあったらしく、笑う声や悔しさに泣く声があちこちから聞こえる
そんな人達で溢れる中、見知った顔を見つけて声をかけると驚いたように目を見開きながらこちらに顔を向けた
「…侑斗。なんでここに」
「散歩してたら足が向いて…お前こそ、なんでここに」
「ん？私は…」
そう言いながら言葉を濁すAの目線の先には、一組の親子
娘であろうその子の首にはメダルが輝いている
嬉しそうに笑う、その笑顔はどこか見覚えがあった
どこで会ったか…と思考を巡らせていると、Aがニヤリと笑う
「あれ、私の妹。ついでに、一緒にいるのは両親」
「…は！？」
Aからの突然の爆弾発言
思わず二度見する自分に、Aはクスクスと笑った
ポンポンと座っている隣を叩かれ、促されるままAの横へと座り込む
「まぁ…妹って言っても、私は会った事がないんだけど。元々の私の時間はここじゃないし…年齢的に妹かなって」
仲良さそうな親子を優しく見つめながらAはポツポツと言葉を落とす
あの日以来、Aはこうやって少しずつ自分の事を話すようになっていた
「…前にね、リュウタに言われたんだ。私の両親は亡くなってるの？って。
正直どう答えていいか、分かんなくてさ。生きてるんだけど、私の事は覚えてないし…そもそも私という存在を知らないから“両親”と言っていいのかとか考えちゃって」
Aはそう言いながらポスンとベンチの背もたれにもたれかかる
その表情はなんとも形容しがたいもので、何故か自分の胸の奥がツキンと痛んだ
「でもさ、あの人達が居なければ私は居ないんだよなぁ…。だからリュウタの質問、ちゃんと答えられなかったんだよね。
…あれ？これ、結局何の話？」
フフ、と笑うAの表情にさっきの翳りはもう見えなくて
見間違いかと思うほど、今度は柔らかく笑っている
「….まぁ思う所は色々あるんだけどさ。こうやって時々見に来てるのよ。元気そうだなぁとか、幸せそうでよかったとか。一方的に近況確認、的な」
気が付いたら親子はもう向こう側へと歩いていて、楽しげに歩くその様子をAはジッと見えなくなるまで見つめていた
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茉南(プロフ) - ちゃちゃさん» 読んでいただきありがとうございます！蟠りがなくなった彼らのやりとり、私も楽しんでます（笑）これからの二人の関係性もまた書いていくので楽しみにしていてください！ (2021年1月24日 17時) (
レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃ(プロフ) - もう、夢主と侑斗の関係性大大大好きです！これからも愛読させていただきます！！ (2021年1月24日 8時) (レス) id: f790642b1e (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - めめめさん» ありがとうございます！電王大好きで、とうとう手を出してしまったのですが…楽しんでいただけたのなら幸いです(^^)最後まで頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年12月31日 21時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
めめめ - 最近電王を一気見してどハマりした者です…！この作品も2日で一気に読んでしまいました…！とても面白くて私好みで大好きです！これからも投稿頑張ってください！応援しています！！ (2020年12月31日 3時) (レス) id: f4d936584d (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雪華さん» こんばんは！ポケモンはなんとなく知っていますが…何ですか？ (2020年10月22日 19時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉南 | 作成日時：2020年10月15日 13時
