277 ページ28
暑くて、寒くて
ふわふわと浮き上がったり、鉛が巻き付いたみたいに沈んでいったり
そんな事を何度か繰り返して、ようやく身体が安定してきた頃
ゆっくりと瞼を開ければ、そこには見知った兄達の顔がたくさんあった
「…………みん、な…？」
「おや起きたかいお嬢。調子はどうだぃ？」
側にいたイゾウ兄の手がゆるりと頭を撫でる
そのまま流れるような動きで自身の額を私の額へとコツンと合わせてきた
じんわりと温かいイゾウ兄の体温と、久しぶり過ぎるイゾウ兄の距離間の無さに思考は一瞬止まった
「ッ！！いぞ、兄…！」
「あぁ、まだちぃと高いねぇ。無理はしないでおくれよ。また何日も眠られちゃあ寂しくて仕方ねぇ」
その瞳は私を心配するソレだったけれど、いやでもその距離感が久しぶりすぎて対応に困る！
おかしいな、イゾウ兄の妖艶さが拍車がかかってる！！
「ちょっとイゾウー！Aが困ってるよー！その垂れ流しの色気、さっさとしまってー」
イゾウ兄の後ろからひょいと顔を出してきたのはハルタ兄
ハルタ兄が来た事によって、イゾウ兄はクツクツと笑いながら体勢を元に戻してくれた
ホッとして息を吐けば、今度は反対側からナミュ兄が覗き込んでくる
「なみゅ、兄？」
「はは、なんか舌足らずだな。心配したよ、一時は俺より体温が低い時があったんだ。意識が戻るまで回復したみたいで、良かった」
いつもよりナミュ兄の手が冷たく感じるのは、やっぱり体温が高いからなんだろうか
その冷たさが気持ちよくて微睡んでいると、突然響いた衝撃音に思わず目を瞬かせた
「Aーーー！？起きたってー！？」
「うるせぇリーゼント！！Aが驚いて起きちまうだろうがよぃ！！」
もはや懐かしいとも思えてしまうこのやり取りをするのはあの2人だけで
姿が見えた瞬間に、嬉しさが膨らんで思わず身体を起こした
「マルコ兄！さ、っち兄…！」
自分で思っているよりも動かない身体がよろけると、それを見て慌てたサッチ兄が見た事ない動きをして一瞬でベッドの側までやってきた
「ちょっ、A！危ないから起き上がらないで！！」
「サッチ兄、心配しょー」
「当たり前だろ？大事な妹なんだから！」
そのままギューって力いっぱい抱き締められるのも、久しぶりで嬉しくて
普段なら“ Aが潰れるだろうがよぃ！”って回し蹴りの一つでもしそうなマルコ兄も嬉しそうで
あぁ、“帰って”きたんだなぁって、心の底から安心したんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉南(プロフ) - はるさん» 読んでいただきありがとうございます！更新を待っていただける事、とても嬉しいです(^^)のんびりし過ぎて忘れられないよう頑張っていきたいと思っています（笑）これからもよろしくお願いします！ (2月15日 11時) (
レス) @page49 id: 6c919d248d (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月15日 10時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雨衣さん» いつもありがとうございます(^^)そうなんですよー！原作はみんないなくなってて寂しくて(T-T)彼らを今後どうするか、ある程度考えているのですが…今が楽しくて悩み中です（笑）今後も楽しんでいただけたら嬉しいです！ (12月28日 0時) (レス) id: 936b383323 (このIDを非表示/違反報告)
雨衣(プロフ) - 毎週本当楽しみにしてます！アニメではサッチもイゾウ達もらいなくなるので寂しいんですけど手のなる方へではみんないるから本当癒しになります！！今後の展開が楽しみです！ (12月27日 21時) (レス) @page44 id: ab81a6b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - れなさん» 読んでいただきありがとうございます！文章を褒めていただき、昇天しそうです…。ちまちま書き進めていますので、のんびり待っていただけると嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします！ (12月19日 23時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉南 | 作成日時：2023年3月3日 11時
