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__バタバタバタバタ!
報告を受けた俺は、やっていた仕事を投げ出し部屋を飛び出した
それは、毎日毎日待ち望んでいた報告
普段は感情を抑え込み、常に冷静でいるよう努めているが今回ばかりは例外だ
敵襲や、よっぽどの事がない限り船内を走らない俺が爆走しているのだ
見かけたクルーは一度はギョッとした表情をしていたが、すぐに“理由”に気付くと表情を緩ませた
早く、早く
決して遅くはないと思っている脚力も、今はやけに遅く感じる
慣れた道のりがやたらと遠く感じる
それほどまでに、この報告を待ち侘びていたのだ
「__A!!!」
勢いよく医務室のドアを開ける
いつもは咎める側だが、今だけは許してほしい
見慣れた無機質な白い部屋
清潔感のあるベッドに横たわるAの瞳が、ゆっくりと自分を捉える
次いでぎこちなくも微笑んだ
「……マルコ、にぃ」
「ッ!」
その声に、俺は思わず手で顔を覆いながらしゃがみ込む
安堵感が高まり、つられて涙腺まできちまったモンだから相当だ
“この俺が”とも思ったが、相手が相手だからそれも悪くねぇとも思っちまう
まぁつまり、それだけ欠かせねぇ存在になっちまったんだな、コイツが
思考がそこに行きつけば、高まった感情はいくらか落ち着きを取り戻す
顔を覆っていた手でガシガシと首の後ろを掻きながら立ち上がると、再びAと目線が合った
「…おかえり、A。随分長げぇ旅だったねぃ?」
「へへ…ただい、ま。ちゃんと…帰ってきた、よ」
くしゃりと撫でつければ嬉しそうに笑う
やっと“日常”が戻ってきたような気がして、ようやく肩の力を抜く事ができた
「…にしても。エースから報告もらって飛んできてみりゃあ…まさか、寝てるとはねぃ」
俺の反対側、ベッドの脇に座って寝こけているエースを見やるとAが可笑しそうに笑った
「なんか、ちゃんと寝てない…みたい。マルコにぃに…連絡、したら糸切れたみたいに…寝ちゃっ、た」
「あぁ…そりゃリナやアマンダにも連絡してなさそうだなぃ。どやされる前に連絡、入れるか」
ベッド脇に置かれていた電伝虫に手をかけるが、その手をAの頰へと移動させる
体温が平常に戻り切らないAは、いまだ高温と低温を行ったり来たりしているようだ
「お前はもう一度寝とけ。後でリナ達には連絡入れとくよぃ」
そう言えば安心したように目を閉じ、そのまま寝息を立て始める
一度頰を撫でてから、今度こそ電伝虫へと手を伸ばした
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茉南(プロフ) - はるさん» 読んでいただきありがとうございます!更新を待っていただける事、とても嬉しいです(^^)のんびりし過ぎて忘れられないよう頑張っていきたいと思っています(笑)これからもよろしくお願いします! (2月15日 11時) (レス) @page49 id: 6c919d248d (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月15日 10時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雨衣さん» いつもありがとうございます(^^)そうなんですよー!原作はみんないなくなってて寂しくて(T-T)彼らを今後どうするか、ある程度考えているのですが…今が楽しくて悩み中です(笑)今後も楽しんでいただけたら嬉しいです! (12月28日 0時) (レス) id: 936b383323 (このIDを非表示/違反報告)
雨衣(プロフ) - 毎週本当楽しみにしてます!アニメではサッチもイゾウ達もらいなくなるので寂しいんですけど手のなる方へではみんないるから本当癒しになります!!今後の展開が楽しみです! (12月27日 21時) (レス) @page44 id: ab81a6b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - れなさん» 読んでいただきありがとうございます!文章を褒めていただき、昇天しそうです…。ちまちま書き進めていますので、のんびり待っていただけると嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします! (12月19日 23時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉南 | 作成日時:2023年3月3日 11時