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__“おかしい”っていうのは気付いてた
だけどそれに対して何も対処しなかったのは、いま考えればただの“甘え”だった
向こうから、この状況に対して何かしら言ってくれると思っていたんだ
だから今、こうなってしまって心底後悔している
「A、見てねぇかぃ?」
ドアを開け、その場にいたナースにAの所在を尋ねると返ってきたのは望んだ答えではなかった
困ったように苦笑いを浮かべているのは最近船に乗ったナース__ツキナ、だった
「ほんの30分前くらいまでは、ここにいたんですけど」
「チッ…またすれ違いかぃ」
隠す事なく苛立ちを露わにし、舌打ちを鳴らせば目の前のナースはまた困ったように笑った
「すみません。またすれ違い、になってしまうんですけど」
そう言って出されたモノは、もはやコイツから渡されるのが恒例になりつつある__Aの終わった書類達だ
受け取ってパラパラとめくれば、そこには少しクセのあるAの文字が並び相変わらず完成度の高い書類に笑みが溢れた
「…お前さんからコイツを渡されるのも、習慣化してきたねぃ」
「本当は、Aさんから渡してもらえた方がいいですよね…」
「本音を言やぁな。…だが仕事が滞らなくて感謝、してるよぃ」
コイツの言う通り、最近は知らない間に部屋の机に置かれているか、こうやって手渡されるかのどちらかだ
気配を追ってみてもいつだってアイツは近くにはいない
__と、言うより__…
「… Aに会ったら俺の部屋に来いって言っといてもらえるかぃ?」
「えぇ、分かりました。必ず伝えます」
ニコリと笑うコイツは今までのナースとはどこか雰囲気が違う
勝気な性格のナースが多い中、コイツは印象がまるで逆なのだ
それが新しい風のようであり、異質のようであり
口には出さないが、自分としては所謂“苦手”の分類に入るだろう
どことなく居心地の悪さを感じ、さっさと部屋を出ると自室へと向かう
ほぼ八つ当たりのように乱暴にドアを開けると、何故かいるサッチに無意識に眉間に皺が寄った
「またA、いなかった?」
「…あぁ。しかもアイツ、極力気配を消してやがる」
「え?アイツそんな事できたか?」
「独学でやったんだろ。俺たちは会えてねぇし、エースは教えられねぇだろ」
良いのか悪いのか
いつの間にかAはある程度、覇気を自身のモノとしていた
それは喜ばしい事だが同時に懸念事項でもある
__ならば
まずは、現状打破から始めようか
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茉南(プロフ) - はるさん» 読んでいただきありがとうございます!更新を待っていただける事、とても嬉しいです(^^)のんびりし過ぎて忘れられないよう頑張っていきたいと思っています(笑)これからもよろしくお願いします! (2月15日 11時) (レス) @page49 id: 6c919d248d (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月15日 10時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - 雨衣さん» いつもありがとうございます(^^)そうなんですよー!原作はみんないなくなってて寂しくて(T-T)彼らを今後どうするか、ある程度考えているのですが…今が楽しくて悩み中です(笑)今後も楽しんでいただけたら嬉しいです! (12月28日 0時) (レス) id: 936b383323 (このIDを非表示/違反報告)
雨衣(プロフ) - 毎週本当楽しみにしてます!アニメではサッチもイゾウ達もらいなくなるので寂しいんですけど手のなる方へではみんないるから本当癒しになります!!今後の展開が楽しみです! (12月27日 21時) (レス) @page44 id: ab81a6b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
茉南(プロフ) - れなさん» 読んでいただきありがとうございます!文章を褒めていただき、昇天しそうです…。ちまちま書き進めていますので、のんびり待っていただけると嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします! (12月19日 23時) (レス) id: a9242dc9a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉南 | 作成日時:2023年3月3日 11時