頑張り屋さん ４

■： ページ10

side*涼介









……夢を見た。


何度も何度も繰り返し見た、あの夢を。




『早く逃げろ！！』




誰かの叫び声が聞こえる。


その声が、音が、怖くてたまらないのに


体が……思うように動かない。




『涼介！危ない……！』




伸ばされた知念の手を掴もうとした


……次の瞬間、目の前が真っ暗になって




ぼんやりと目を開けると……


最初に見えたのは、白い……天井？


まばたきをすると、次に見えたのはおそらく自分に繋がっている……点滴のパック。




涼介「…………」




間違いない、病室だ……


またここに逆戻りか……なんて思っていると


ピクリ、と手が動くのを感じた。




涼介「ぁ……」




目線を下に落とすと、


ベッドに突っ伏すように眠る知念。


その小さな手が、俺の手を握りしめていて。




涼介「っ…………！」




その反対側には……、同じように眠る大ちゃんがいた。


じわっと涙が滲むのが分かって、流れたそれはきっと、白い布に染みを作ってる。




すると、


ガラガラ……、と静かにドアの音が聞こえて……


顔を覗かせたのは、いのちゃんだった。




慧「あ、起きた？」


涼介「ん……っ」




返事をしようと声を出すも、俺の口は酸素マスクに覆われていて、白く曇るだけ。




慧「おはよう」




いのちゃんは近くまで来ると、あったかいタオルで涙を拭ってくれた。


先生呼ぶな。と優しく笑うと、ぺちんと音を鳴らして大ちゃんの背中を叩き、知念をゆすり起こした。

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