×：神の射手 ページ7
はっと目が覚めて、サーッと血の気が引く。
急いで時計を確認すると、四時を回るより少し前だった。
寝る時刻を確認してないが、普段より早かったのだろう。
なんとか遅刻はしなさそうだ。
洗面台で顔を洗って、カバンから袴とゆがけを取り出す。
慣れた手つきで袴を着て、ゆがけを持ち、靴をつっかえて部屋を飛び出した。
昨日、遠回りやけど…と教えてもらった道を辿り、射撃訓練をする場所に到着する。
弓道場がないここでは、普段銃を扱うこの訓練場で射を見てくれるらしい。
早朝。勇者生活を、俺の召喚理由を賭けた静かで熱い勝負が、ここで行われる。予定。
高校三年生、最後の大会を控えた弓道男士。
…こんな所で狂っていいような人生じゃなかったはずだ。
冷静になり始めた思考は、ネガティブな方向へと進んでいく。
適当にやったらできたなんて理由で、人生を狂わされるなんて誰が許せるだろうか。
本当は今だって、学校の弓道場で弓を引いていたんだ。
訓練場には一通り道具が用意されており、そこには和弓が置かれている。
「なんで、ここに…」
そこまで口にして、ふと唯一の日本人であった人物を思い出す。
彼は刀を帯びていた。弓道用の弓があってもおかしくはないだろう。
ゆがけを挿し、弓矢を手に取る前に、的の遠さに驚いた。
今日のために用意してくれたのか、いつも的があるであろう場所より手前に、弓道用に的が作られている。
100メートルは離れた場所に。
弓矢を手に取り、一連の作法をなぞって的の前まで歩く。
だだっ広い射撃場では、一人矢をつがえる姿は寂しく映った。
的はただ静かに、そこにある。
立ち上がり、弓を引き始めると、辺りの音が無くなったかのように雑音が消えた。
神の射手。その言葉で呼ばれたなら、俺の射は……。
カーンと音を立てて、矢は放たれた。
飛んでいった矢は的を外れ、1センチほど的からズレて真横に突き刺さる。
ため息が出るのも抑えられなかった。
……なんだ、変わんねぇじゃん。
「…つ、次」
「次っ…」
…何本放てど、同じこと。
俺の矢は絶対、的に中らない。
まぐれで中ることも無く、絶対に数センチ外れる。
「おしい」なんて言葉は聞き飽きていたし、みんな言い飽きていた。
「なんで…な、んで……っ」
焦燥感がジリジリと身を焦がしていく。
なんで、中てられない俺なんかが。
…そう思うほど、中らなくなる。
「『ええやん、才能あんで』らしいｿﾞ。確かにいい腕だ」
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
