×：優しい人 ページ8
「え…あ、時間……」
時計を見てみれば、予定の時刻は既に過ぎている。
グルッペンさんとロボロさんの二人が、俺の射を見ていた。
「いい腕って…見てました？俺の矢、中らないんすよ」
安土に刺さったままの矢を指す。
それに対し、笑みを深め大きく頷くグルッペンさん。
「見ていたｿﾞ。反応を見るに無意識だろうが、わざと外している」
「はぁ…？」
「…『姿勢も構えの角度も完璧や。直前にずらしてもうてるから的には中らへん』らしい」
ロボロさんが日本語を話せないため、グルッペンさんを通して言葉が伝えられる。
「矢を取ってくるから、もう一度構えてみてくれ」
グルッペンさんはそう言って矢を抜きに行った。
ちらりとロボロさんを見ると、ロボロさんはぐっと親指を立てた。
頑張れという事だろうか。
抜いてきた矢を渡され、一本貰って言われた通りまた弓を引いた。
「…ここなんだな」
「！？」
「このまま放て。矢は絶対に的を射抜く」
俺の体を支えるようにして手首を掴まれる。
何してんの？馬鹿なんの？危ないって、なんて思考がぐるぐる巡る。
背面から感じる存在感の中には、威圧感よりも安心感があった。
ドクンと脈打つ音が聞こえる。
珍しく緊張しているのか。少し口角があがった。
「怪我しても自己責任！」と心の中で叫びながら、一思いに手を離す。
カーンと矢が俺のもとを離れていく。
スパンッと的に矢が中れば、グルッペンさんはそっと掴んでいた手を離した。
「うそ、だろ…？今まで中ったことなんてっ」
「ど真ん中、だな」
今までどれだけやっても、どう練習しても中らなかった矢は、一度腕を固定されるだけで簡単に中心を射抜いてしまった。
この距離を。慣れない弓で。矢で。
そんなこと、あるのか。
いや、あったんだけど…。
「『才能はあるし、実力もある。ただ、優しすぎんねんな』だそうだ。
ロボロ先生はここで一番の射手だｿﾞ。銃に劣らない目と腕を持っているんだ」
銃に、劣らない、目と、腕っ……！？
「しっ…師匠と呼ばせてくださいっ！」
「？」
お互いに言葉は通じないが、ぶんぶんと激しく握手を交わす。
あははと笑ってくれたので、きっと了承してくれたに違いない。
× × ×
長くなっちゃった…。
天才美弓道男士爆誕ですね！師匠〜！
(筆者は弓道噛ってもいません。憧れと微量の勉強だけで形成されたものですエヘ)
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
