お誘い ページ30
宴席は時を経てだんだんと静かになっていった。
「ーー、ーーー!」
それまで、シャオロンさんと俺は、メンバーの奇行を見ては笑っていた。
今、シャオロンさんは生き残ったメンバーと共に、酔いつぶれたメンバーを介抱して回っている。
俺は残り物を食べ、その様子を見守った。
(楽しかったなぁ〜)
宴席には、通じない言葉と笑いしかなかったが、それだけで十分すぎるほど楽しかった。
こんなパーティは初めてだったし、一応は俺の歓迎会だったし。
(ま、歓迎会感はゼロだったけど)
そんなことを思っていると、シャオロンさんはエーミール先生を持ってきた。
「ーーーー、ーーー」
「ーーーー…」
シャオロンさんがエーミール先生に話しかけると、覇気のない様子でエーミール先生が頷く。
エーミール先生は、明るい調子で話すシャオロンさんの言葉を訳し始めた。
「『俺は日本語できひん。けど、どーっしても負けられへん戦いがあんねん!だから!』」
ぐっと拳を握り、ギラギラと瞳を熱く燃やす。
「『A!訓練つき合ってくれへんか!』」
「え、え…?んん?」
(軍人の訓練につき合うってこと!?俺が!?)
「『頼むー!この通りやー!』」
そう言って両手で俺の肩を掴み、ユサユサと揺らす。
「わあぁあぁあぁ…分かりました、分かりましたから揺らさないでぇえぇえぇ…!」
エーミール先生が、了承したことをシャオロンさんに伝えると、シャオロンさんは何かを言い残して嵐のように去っていった。
「『ほな、明日部屋まで迎えに行くわー!』だそうです。…頑張ってくださいね。授業は…出来たらしましょう…」
エーミール先生は悟った目をして言い、後を追いかける。…もしかして経験者…?
まあ、明日のことは明日考えればいいでしょ!
今日はもう部屋に戻って、風呂に入って…ん?
(俺、どうやって戻ればいいんだ?)
生き残りメンバーはささやかな二次会を開き、談笑に花を咲かせている。
ほろ酔い状態だし、その中に入るのも気が引けるな…。
かと言って、一人で戻るわけにも…。
「あの、Aさんですよね」
「え、はい。そうですけど…」
黒い髪を長くのばし、一つにまとめている女隊士が声をかけてきた。
見た目や話す言語からして、日本人だろう。
「お部屋に戻るんですよね。私でよろしければ案内しますよ」
「ありがとうございます、では…」
この時、俺は知らなかった。
なぜ彼女がここにいて、案内役を買って出たのかを。
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…!ありがとうございます……!まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…!もっと早くに知っていたら…くそう!無念!! (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw!めちゃめちゃ応援ありがとうございます!続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません!!ほんまにすみません!!間違って低評価してしまいました!!!ほんまにすみません!!そんなこと一ミリも思っておりません!!応援してます!!もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます!続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lento & こい x他1人 | 作成日時:2019年11月4日 21時