夕焼け ページ28
〈はーい？〉
「…すみませんひとらんさん、その…迷子でして……」
〈あはは、大丈夫だよ。今何が見える？〉
「えっとー…時計と、でかい窓…の奥にベランダみたいなのがありま…おー！夕日が綺麗ですよ！」
〈だったら西側の渡り廊下だね。すぐ行くから待ってて〉
「了解です！」
ベランダに出て、手すりに手をかける。
視界には、夕焼けに染まる空と海、初めて見る街並みがあった。
ここ、海も山もあるんだ。…綺麗だなぁ。
刻々と沈む夕日を、意味もなく眺め続ける。
(向こうも、もうすぐ夜なのかな…)
普段は特別思い返しもしない母の姿が脳裏に浮かぶ。
俺のこと、探しているだろうか。
…せめて、見つからないと、教えてあげられたらいいのに。
今くらいゆっくり休んで、羽を伸ばして欲しい。
(そんなこと、出来るような人じゃないけどさ)
父さんがいなくなった時も、三日三晩泣き続けたような人だし。
心配症だから、連絡がつかないまま零時にも帰ってこなかったら、警察に連絡するだろうな。
どれだけ探しても、俺は見つからない。
ここと向こうじゃ、根本的に何かが違う。
髪の色だって目の色だってカラフルで、日本にも、軍があるって話なんだから。
「Aくん」
とんとん、と肩に手が触れる。
「…中に入ろ？」
ひとらんさんの落ち着いた声は、沈みきった夕日に似て、すっと受け入れられる。
「……はい」
その場から離れることが、太陽から離れてしまうようで、母さんから遠のいてしまうようで、嫌だった。
「大丈夫。笑う門には福来るって言うし、せっかくなら楽しんだ方がいいと思うよ？」
はっとしてひとらんさんを見ると、ひとらんさんは俺の肩に手を置く。
そして、くるりと反転させると、俺の背中をぐいぐい押して進んだ。
「ちょっ、ひとらんさん！歩けますって、危ない危ないっ！」
「それじゃAくん！走って！食堂まで急ぐよっ！」
「えっ！？」
「いいから！」
俺は流されるままに走り出す。
ひとらんさんは横で「早く早く」と急かしてきた。
「なんでっこんなにっ急いでっるんですか！？」
「それは着いてからのお楽しみだよ」
息を乱すことなく走り続けるひとらんさん。
さすがに根負けし、俺は途中から歩き始めた。
(やっぱり軍人なんだよな…)
少し前を歩くひとらんさんの背を見つめる。
その服は、日本海軍の軍服によく似た、なにかだった。
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
