謝るのは簡単 ページ22
医務室に入ると、流れるように診察が済まされていく。
俺はほとんど立っていただけだ。
終わる頃には、頭はもう随分冷静になっていた。
「『大きな怪我がないから良かったけど…心配したで』」
エーミール先生はしんぺい神さんを真似して言う。
「……すみません」
思い返せば、その度、自分の勝手さに恥ずかしくなる。
オスマンさんとひとらんさんが、気を利かせて「不安だろうから」と言っていたけれど、あれは「一人で出歩かれたら困る」なんて意味だったのだろう。
(馬鹿じゃん…馬鹿…)
勝手に出歩いて、殺されそうになって、それを助けられて、心配したよって、言われるって……。
「『怖かったやろ？今は大丈夫？』」
「…はい、すみません」
貼ってもらった湿布を、上から撫ぜる。
(小学生かよ…高三で、みっともない)
湿布独特の変な匂いと、冷たさに、脳は冷やされていく。
その度思い浮かぶのは、謝罪と馬鹿な自分だ。
不意に、弱い手刀食らわされる。
驚いてその主を見ると、ゾムさんがつまらなそうに俺を見ていた。
「『謝ってばっかやん、つまらん！』」
「え、その…すみません」
「ふw『エミさんほんまにその訳あってんのか！』あってますー！」
エーミール先生はゾムさんにあれやこれやと言葉を返していくが、こちらには来なくなったので、俺にはあまり関係のない話なのだろう。
「……心配かけて、すみませんでした。…もう、勝手なことは、しません…」
三人ははたと手を止め、俺の言葉を聞いた。…尤も、二人は分からないから、エーミール先生が翻訳してようやく伝わるのだけど。
キリキリと腕が痛む。…馬鹿だなあ、ほんとに。
「『無事やったんやから、分かってくれればええんよ』」
優しく、けれど力強く、言葉が伝わるはずないのに、面と向かってしんぺい神さんは喋る。
「『うちにも無鉄砲は沢山おるし、そんな気にせんとって？』」
そう言って微笑んだ。すると、横からゾムさんが乱入してくる。
「『せやぞ！お前くよくよし過ぎやねん、男やろ！？』」
「…すみません」
ゾムさんは「すみません」という単語を覚えてしまったのだろうか、そう言うと「違う！」と言うように首を振った。
「Aさん、私たちが欲しいのは、『すみません』じゃないんですよ」
ゾムさんの野次にエーミール先生は苦笑して、そう告げる。
そうだ、助けてもらったのなら…。
「…あ、ありがとう、ございます…」
そう言うと、三人はにっこり笑った。
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
