旅人のよしみ ページ25
ベッドの上でゴロゴロしていると、コンコンコンとノックが響く。
「ちょっとええか」
「はーい?」
扉を開くと、白い犬を連れた兄さんが立っていた。
てっきり兄さんも日本語を話せないものかと思っていたが、大分流暢に話すようだ。
わんこは大人しく座っている。かわいい。
「出る前に挨拶くらいしとこ思ってな。次帰って来れるんもいつになるか分からへんし、旅人のよしみってことで」
はい、と兄さんはステンレス製のネックレスをくれた。
飾りには、細い円柱形のホイッスルが付いている。
「おお…!ありがとうございます!」
「その笛の音はよう通るから、吹くんは緊急事態の時だけや。ええな?…俺との約束やぞ」
「はい…分かりました」
真っ白のホイッスルと、銀のチェーンがとても綺麗でカッコイイ。
早速首にかけると、兄さんは嬉しそうに笑った。
「よし、ほな行くわ」
兄さんは風のように歩いて去っていく。
カチッカチッとライターの音が聞こえた。
わんこも立ち上がって、テトテトと後ろをついていく。
「行ってらっしゃーい」
半ばノリでそう言って手を振ると、兄さんは振り返らず手を振り返した。
兄さんが階段を下りていくと、奥から猛スピードで走って来る影が見える。
「ーーーーー!ーーー!」
「えっコネシマさん!?なになになにッ!?」
コネシマさんは何かに恐怖するように顔を歪めながら、俺を引っ張って走り続ける。
足が絡まったが何とか走り出すと、コネシマさんは手を離し、通じもしない我々語で理由を話した。
「ーーー、ーーーーーーー?ーーーー!?」
分かるか!?とでも言うような雰囲気だが、理由は分からない。
「何から逃げてるんです!?」
「ーーー?」
「とぼけてる暇じゃないんすけど!」
コネシマさんは後ろを指すので、そっと後ろを見てみると、鬼のような顔をするトントンさんを見つける。
ぞわっと悪寒がして、すぐに前を向いた。
「コネシマさん何したんですか…!めっちゃ怒ってますよ…!?」
「ーーーーーーーーー?」
コネシマさんはトントンさんを指して、俺を指してもう一度トントンさんを指した。
そして、「行ってこい!」とでも言うように親指を立てニッカリと笑う。
「…突撃しろと!?」
俺を指し、トントンさんを指す。首を傾げると、うんうんと頷かれる。
(これは……腹をくくるしかないのか!?)
俺は謎のノリと勢いに任せてキッとブレーキをかけた。
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…!ありがとうございます……!まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…!もっと早くに知っていたら…くそう!無念!! (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw!めちゃめちゃ応援ありがとうございます!続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません!!ほんまにすみません!!間違って低評価してしまいました!!!ほんまにすみません!!そんなこと一ミリも思っておりません!!応援してます!!もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます!続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lento & こい x他1人 | 作成日時:2019年11月4日 21時