アイデンティティ4 (ページ1)

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１４９話ページ1

「A……」

「私はこんな所で終わるなんて絶対に嫌だ！！なんてったってこの私がまだ活躍してない…！！こんなバットエンドなんてないよ！！！」

ズコーっとその場にいる皆が倒れ込むようなポーズをした

「そうだよ！Aの言う通りだよ！俺はこれが最後の試合になるなんて嫌だ！！」

キャプテンのその言葉を聞いて我に返ったかの様にハッとなる鉄角たち。そう、日本を代表して結成されたイナズマジャパンは予選で敗れればそこで終わり。監督との条件付きでイナズマジャパンに加わった彼らにとって、このチーム、このメンバーでサッカーをすることはもう二度と無いであろう。皆はこれを最後の試合にしてしまうことに対し、激しく葛藤する

「別にいいんじゃない？負けたって約束の条件はクリアしたんだから」

その中で瞬木だけはこのまま終わってしまっても良いと笑顔で語り出す。監督の出した条件はクリアしているのだから、負けても彼の望んだものは手に入れることが出来ると語るその言葉はまるで悪魔の囁きだ。

「そんなこと分かってるんだよ！分かっちゃいるんだけど…このままじゃ収まらないんだ！！俺はこのチームに入って、初めて向き合うことが出来たキャプテンと出会って、みんなとサッカーして…！」

だがその瞬木の言葉を怒声で遮ったのは九坂だった。バンダナを外していないというのに怒髪天モードの口調になった九坂は、ややトーンを落としつつこのチームに対する自身の気持ちを語る。

彼にとってこのイナズマジャパンは自身の弱い心と向き合う機会を与えてくれた存在であり、キャプテンやみんなとサッカーすることが出来て得られたものの大きさを実感していた。

サウジアラビア戦で笑顔のキャプテンからバンダナを手渡され、強くなることの意味を知ると同時に信頼してくれる仲間というものの存在に思いが至った九坂は、それがサッカーのおかげかどうかは分からないと結論を濁しつつも、ここで終わってしまえば、まだやり残した「何か」を永遠に失ってしまうことだけはハッキリと理解していた。

「勿論、サッカーのおかげかどうかはどうかは分からない！でもここで辞めたら、何かを失う…！まだ何かやり残したことがあるような気がするんだ…！！」