我儘 ページ9
｢おいジジイ。ベッド貸せ。｣
双六は泣き疲れて寝てしまった桐島を横抱きにしてい医務室に乗り込んだ。その様子を不信に思った御十義翁は眉間に皺を寄せて言った。
｢ここはラブホじゃねぇぞ。｣
｢ブッ飛ばすぞ。ここに寝かせっからな。｣
御十義には凄みながらも、桐島を寝かせる動作はとてつもなく優しいものだった。
｢…あー。地下牢の看守か。｣
御十義が双六の後ろから覗き込みながら確認する。
｢さっき、死刑執行した看守だ。しかも、ひとりで。｣
｢それで、精神がやられかけてるってことか。ん？死刑執行っつーのは普通3人でやるもんじゃねぇのか？｣
双六はまたため息をついて、答える。
｢そのはずなんだがなぁ。｣
意味深長に言う双六を見て、御十義は何を察したか、それ以上は聞いて来なかった。
カーテンは閉められ、簡易的な密室状態だ。
｢…んぅ。ん？ここ、は。｣
すると目を覚ました桐島は起き上がって当たりを見渡す
｢起きたか。気分に変わりはないか。｣
｢すごろく、主任。すみません。お手数お掛けしました。大分楽になりました。｣
｢…お前、毎回こうなってんのか。｣
視線を鋭くして双六は尋ねる。
｢いいえ。今日はちょっと、双六主任がいらっしゃってて…安心してしまって、つい。｣
はは…と乾いた笑いを吐く桐島に双六は無表情になって見つめた。
数秒後、双六は桐島の後頭部に手を回して自分の方を見るように頭を固定させた。桐島はびっくりして石化してしまっている。
｢ど、どうしたんですか！？双六主｣
｢ピーピーピーピーうるせぇな。泣け。そうやって今まで我慢して我慢して我慢して。ずっと心を削ってきたんだろ？もうちったぁ我儘になったところでバチは当たんねぇよ。｣
｢言ってみろよ、我儘。｣
目に大粒の涙を溜めている桐島にお世辞にも笑顔らしいとは言えない笑顔で双六は言った。俯いて涙を零しながら桐島は言った。
｢傷付けなくないです。｣
｢ああ。｣
｢ひとりで泣きたくないです。｣
｢ああ。｣
｢人を、更生させたいです。｣
｢ああ。｣
｢地下牢は嫌いです。｣
｢ああ。｣
｢貴方が好きです。｣
｢ああ。｣
｢貴方が、欲しいです。｣
｢ああ。｣
心の底からの我儘だった。
｢よく言ったな。｣
双六は人の悪い笑みを浮かべて言った。
｢くれてやる。｣
桐島はバッと顔を上げて双六を見つめた。
目は大きく見開いて、口はぽかんと空いている。
｢長年の夢が叶ったぞ。よかったなぁ。｣
双六は笑った。
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よいよいの宵さん(プロフ) - 更新頑張って欲しいのですが最後のお話で終わりとあるんですがもう更新なさらないのですか？ (2023年1月24日 2時) (
レス) @page28 id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの旅人G - 物凄く好き、続き希望 (2022年5月5日 19時) (レス) @page28 id: f9e800024f (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - んーと、これってもう更新されないんでしょうか？ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
コヤマドゥ。(プロフ) - みさきさん、零印さん、いつも応援して頂きありがとうございます！夏休みも後半に入りましたので、もっと更新は遅くなると思います。出来るだけ頑張ります。いつもありがとうございます！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: fc2aad84a9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 勉強合宿お疲れ様です！これからも楽しく読ませていただきます♪ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 52964e3ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コヤマドゥ。 | 作成日時：2019年7月21日 18時
