誇り ページ5
｢なお、459番の死刑執行日は12月29日となる手筈です。｣
｢ああ。それで進めろ。｣
看守長を前にして桐島は毅然とした態度を崩さない。看守長室の前には｢鍛錬｣の五舎主任、悟空がいるにも関わらず。
桐島は悶々と持っていた疑問を尋ねる。
｢1つ、お聞きしてもよろしいでしょうか。｣
｢なんだ。言ってみろ。｣
｢なぜ、私程の端くれが呼び出されたのでしょうか。｣
看守長は、はっと鼻で笑う。
｢地下牢担当看守は主任看守の次に武力面で実力のある者だ。その任務をになっている者を端くれ、だと？笑わせるな。｣
桐島は、はっと気づく。
看守長はこの仕事に誇りを持って就いている。だから自らの下につく者誰一人、端くれだなんて思っていないのだ。
桐島は90度腰を曲げて頭を下げる。
｢…大変なご無礼をお許しください。｣
｢頭を上げろ。今日君をここに呼び出したのは十三舎の地下牢の様子を知りたかったからだ。｣
｢…十三舎の、地下牢の様子。ですか。｣
特に変わった様子はない。
日頃の暴行にいたっては情報部の監視カメラモニターで筒抜けのはずだ。
｢いつも通り、地獄ですよ。｣
｢ほう。そうか。…あそこが地獄なら、君は閻魔大王といったところか。｣
綺麗な笑い方をする人だ。
誇り高い性格や堂々とした姿勢もそうだが、時折見せる柔らかさが人を惹き付けるのだろう。と桐島は呑気に考えた。
｢閻魔大王が仕事って…なかなか乙なものですね。｣
桐島はふふっと笑って、看守長室を後にした。
看守室から出てくると悟空主任が如意棒かなんか知らないが、それを桐島に向けて構えていた。
｢…ウチの五舎には地下牢担当看守なんていねぇ。なんなんだ、おめぇは。｣
五舎には囚人として先代の主任看守部長がいる。しかも、地下牢に。
だから、気になったのだろう。全身の毛を逆立ててまで。
｢そのままの意味です。地下牢に収容されている囚人を監視する看守です。…これ以上、双六主任の胃を痛める訳にもいきませんし。｣
双六主任、という言葉に大きく反応した。
｢てめぇみてぇな女があの地下牢の囚人を扱える訳ねぇだろ。お前に出来るなら誰だって｣
｢悟空主任。｣
貴方は何をそんなに焦っているんですか。
悟空は目を大きく開いて唖然とした。
桐島がその隙を見逃すはずもなく、その如意棒のような武器を悟空から奪う。
｢あっ！｣
目にも止まらぬ速さで悟空の額すれすれに如意棒を突きつける。
｢十三舎を、舐めないで頂きたい。｣
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よいよいの宵さん(プロフ) - 更新頑張って欲しいのですが最後のお話で終わりとあるんですがもう更新なさらないのですか？ (2023年1月24日 2時) (
レス) @page28 id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの旅人G - 物凄く好き、続き希望 (2022年5月5日 19時) (レス) @page28 id: f9e800024f (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - んーと、これってもう更新されないんでしょうか？ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
コヤマドゥ。(プロフ) - みさきさん、零印さん、いつも応援して頂きありがとうございます！夏休みも後半に入りましたので、もっと更新は遅くなると思います。出来るだけ頑張ります。いつもありがとうございます！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: fc2aad84a9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 勉強合宿お疲れ様です！これからも楽しく読ませていただきます♪ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 52964e3ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コヤマドゥ。 | 作成日時：2019年7月21日 18時
