終結 ページ28
強烈どころか命さえも奪いそうな蹴りを入れられ、双六は勢い良くコンクリート塀にのめり込む。
双六が握りしめていた15番を横抱きにして、桐島は言った。
｢必要以上の捕縛活動…とのことです。それ以上の職務執行をお辞め下さい。｣
｢…チッ。｣
決まり悪そうな双六が砂煙から現れる。なんでもない、いつもの双六の姿に安心しながら15番を見つめる。
思い出したように桐島は双六にいたずらっ子のような笑みを浮かべて、言った。
｢まだ競技は終わっていませんよ。｣
双六は驚いて目を見開く。
そんな様子を気にもとめず桐島は看守長と四桜を見やる。
｢ですよね、看守長、四桜主任！｣
桐島の言葉に肩を揺らして驚くのは四桜だった。
｢こんな事態があって何勝敗を気にしているのだ！そんな事だから────｣
｢ああ、そうだな。勝負はまだ続いている！｣
看守長は口角を上げて言い放った。
四桜は驚きを隠さずに看守長を見つめる。納得出来ない、とでも言いたげな表情だ。
｢だそうですよ！──って…。｣
桐島が双六に話しかけているときには既に双六はその場にはおらず、酒樽を叩き割っていた。
｢さて、11番、69番。競技場から出るぞ。話がある。その前に医務室だがな。｣
そっと二人を流し目で盗み見る。
11番の恨みの隠さない瞳で、十三舎の地下牢の囚人達を思い出す。こういう目をしている奴らを徹底的にしつけていたな、と頭の隅で考える。
｢15番サンハ、オ父様カラ手当ヲ受ケテイマスノデ、ココデオ待チ下サイ。｣
神八の指示に従い、桐島達は15番を医務室に預け、待合室にいる。
すると11番が俯きながら話し始めた。
｢手錠、かけないのかよ。｣
｢かけて欲しいのか。｣
椅子に座った二人を見下すように彼らの前の壁に桐島はもたれかかる。
桐島の気の無い返答に11番は苛々を募らせた。
｢これから、15番は地下牢に収監されることになるだろう。本来、地下牢に収監された囚人はここへ出てこられない。｣
｢そんな、ジューゴはどうなるんだよ！！｣
咄嗟に立ち上がった11番を宥めつつ、桐島は続ける。
｢話はまだ終わっていない。最後まで聞け。｣
人差し指で11番の額を強く押し、バランスを崩させて椅子に座らせる。
｢だが、双六主任が先程酒樽を叩き割ってただろう。囚人は何かを一つ与えられることとなる。つまり、15番が«チャンス»を望めば、その権利は与えられ、ここに戻ってこれる。｣
桐島の言葉に11番と69番は目を輝かせて喜んだ。
終わり
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よいよいの宵さん(プロフ) - 更新頑張って欲しいのですが最後のお話で終わりとあるんですがもう更新なさらないのですか？ (2023年1月24日 2時) (
レス) @page28 id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの旅人G - 物凄く好き、続き希望 (2022年5月5日 19時) (レス) @page28 id: f9e800024f (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - んーと、これってもう更新されないんでしょうか？ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
コヤマドゥ。(プロフ) - みさきさん、零印さん、いつも応援して頂きありがとうございます！夏休みも後半に入りましたので、もっと更新は遅くなると思います。出来るだけ頑張ります。いつもありがとうございます！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: fc2aad84a9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 勉強合宿お疲れ様です！これからも楽しく読ませていただきます♪ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 52964e3ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コヤマドゥ。 | 作成日時：2019年7月21日 18時
