年越し ページ19
｢明けましておめでとうございます。｣
｢ああ、おめでとう。A。｣
看守室で双六と桐島は2人きりで年明けを迎えた。
宿直ということで仕事中にも関わらず、二人の間に流れる穏やかな空気は恋人のそれだ。
｢今年もよろしくお願いします。双六主任。｣
｢よろしくな。…初日の出を職場で見るっつーのは嫌だな。｣
｢ふふ。南波刑務所の通常看守は毎年恒例行事の新年大会に出場されるので、仕方ないですよ。｣
書類を整理して、双六に渡す。
桐島自身、書類などのパソコン系の仕事は得意だ。そのため、ほぼ一人で管理、担当していた地下牢とは違い仕事はすぐに終わってしまう。
しかし勤務時間に何もすることがないというのはなんだか許せない桐島は双六の仕事に手を付け始めた。それも自分程度の通常看守でも出来る仕事だけを見極めて、更に完璧に仕上げる。
双六が桐島を頼り始めるのに時間は掛から無かった。
｢すまんな。俺がしなきゃならねぇのに。｣
｢いいえ。…双六主任。人を頼るのが苦手なんですね。｣
｢は？｣
驚いたように双六は口を開けて桐島を見つめた。
｢ああ、いえ。お気に障ってしまったのであれば申し訳ございません。ただ…、いえ、なんでもありません。｣
｢なんだ。言え。｣
双六から凄まれても桐島は首を横に振って言う。
｢双六主任が何故彼らを頼らないかを考えたら、彼らの方に問題がありました。｣
｢ヤマトと星太郎のことか…。いっつも鍛錬してる奴と脱獄囚一人捕まえられない奴だからなぁ…。｣
｢七夕、囚人に強く出られませんからね…。優しい人だからだとは思うのですが…。｣
うーん、と喉の奥で噛み殺すように唸る。
桐島は立ち上がり、棚の資料を漁り始める。双六は書類に判子を押し続けて、桐島の方に視線を向けた。
｢…やけに嬉しそうだな。｣
｢ふふ。新年大会実行委員なんていうものになってしまって、ずっと本部に居なきゃならないと思ってたんですが、余程のことがない限り十三舎の皆様と一緒にいることが出来るそうですから。｣
貴方と一緒に居れます。なんてにこにこ柔らかな笑顔で言うものだから双六の理性は鍛えられる。
｢ああでも、競技には出られないそうですが。｣
残念そうに桐島は言う。
｢応援していますね！｣
双六は勢いよく朱肉を弾けさせて判子を破壊した。桐島は朱を浴びた双六に驚いて、ハンカチを急いで双六にあてる。
｢ど、どうされましたか？｣
｢…お前、本当そういうところ困るぞ…。｣
｢えっ！？すみません！｣
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よいよいの宵さん(プロフ) - 更新頑張って欲しいのですが最後のお話で終わりとあるんですがもう更新なさらないのですか？ (2023年1月24日 2時) (
レス) @page28 id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの旅人G - 物凄く好き、続き希望 (2022年5月5日 19時) (レス) @page28 id: f9e800024f (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - んーと、これってもう更新されないんでしょうか？ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
コヤマドゥ。(プロフ) - みさきさん、零印さん、いつも応援して頂きありがとうございます！夏休みも後半に入りましたので、もっと更新は遅くなると思います。出来るだけ頑張ります。いつもありがとうございます！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: fc2aad84a9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 勉強合宿お疲れ様です！これからも楽しく読ませていただきます♪ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 52964e3ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コヤマドゥ。 | 作成日時：2019年7月21日 18時
