幸せ ページ12
｢ただいま。｣
｢邪魔するぞ。｣
｢どうぞ。リビングでお待ちください。｣
霊園から十数分車を走らせ、まだ新しいであろうマンションに、桐島は住んでいた。
桐島は荷物を整理するために寝室へ引っ込んでいった。そのため手持ち無沙汰である双六はリビングを見渡した。
テレビにソファにテーブル。その他のどれも白を基調とした家具で部屋は構成されていた。壁際に設置された本棚は教育関係や法律関係などの小難しい本ばかりだ。六法全書まである。
それと隣合う棚にはハーバリウムや可愛らしいぬいぐるみなどが置かれていた。
そして飾られていた写真立てに目が止まった。
大勢の子供達と一緒に笑顔で写真を取られている桐島の姿だった。
その他にもいくつか子供達の写真が飾られている。
｢教師だったのか。｣
静かにこちらの様子を伺っていた桐島に振り返ることなく、双六は尋ねた。
｢っ！…気付かれてましたか。そうです。今から三年ほど前まで新任教師をしていました。｣
｢良かったのか。看守なんかになって。｣
桐島は当たり前のように答えた。
｢はい。貴方と共に働けるなら。｣
あんまり純粋に言うものだから、双六はいらぬ気も起こせなかった。
その代わり、わしわしと頭を撫でた。
車内では双六の家族についての話をしていた。
｢弟さんがいらっしゃるんですね。｣
｢ああ。…言っておくが、弟だからな？｣
｢え？わ、分かりました。｣
何度も言い直す双六を不信に思いつつも桐島は頷いた。
｢お兄ちゃんおかえり！…あれ？こんにちは。｣
｢ただいま。部下だ。連れてきた。｣
日本風の家屋から出迎えたのはクリーム色をした髪を持つ、可愛らしい人だった。
｢はじめまして。お兄様には毎日お世話になっています。部下の桐島Aと申します。よろしくお願い致します。｣
双六主任が何度も弟だと言っていたのはこのせいか…。と桐島は納得した。
よく聞いていれば女性にしてみれば声は低い。
｢僕、双六仁志っていいます！よろしくお願いします！あ、上がってください！｣
笑顔で出迎えてくれた双六仁志は、来客のお茶や茶菓子を出すため、台所に向かっていった。
｢仁志さん、とても可愛いですね。｣
｢驚かねぇのか？｣
｢ふふ、今の時代そんなに珍しいことでもありませんし、お気になさらなくても。｣
通された客間で双六と桐島はコソコソと話す。
座布団の上で胡座をかいて、｢そんなもんか。｣と思いふけった双六を見つめて、桐島はまた、幸せそうに笑った。
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よいよいの宵さん(プロフ) - 更新頑張って欲しいのですが最後のお話で終わりとあるんですがもう更新なさらないのですか？ (2023年1月24日 2時) (
レス) @page28 id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの旅人G - 物凄く好き、続き希望 (2022年5月5日 19時) (レス) @page28 id: f9e800024f (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - んーと、これってもう更新されないんでしょうか？ (2020年4月2日 18時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
コヤマドゥ。(プロフ) - みさきさん、零印さん、いつも応援して頂きありがとうございます！夏休みも後半に入りましたので、もっと更新は遅くなると思います。出来るだけ頑張ります。いつもありがとうございます！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: fc2aad84a9 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 勉強合宿お疲れ様です！これからも楽しく読ませていただきます♪ (2019年8月12日 16時) (レス) id: 52964e3ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コヤマドゥ。 | 作成日時：2019年7月21日 18時
